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菅野 雅紀 さらに上をめざすピアノ公開講座
《ショパン編》全4回 開催レポート
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
第1回 2016年6月23日(木) 10:30〜12:30 

 

 菅野雅紀先生による「さらに上を目指すピアノ公開講座《ショパン編》」の第1回目がカワイ表参道コンサートサロンパウゼに於いて開催されました。全4回の講座のうち初回は「3つのワルツ Op.64」「マズルカ イ短調 Op.59-1」「エミール・ガイヤール」を取り上げられました。

 自分で弾く時や生徒に教えるときに役立つような講座をコンセプトとして進めていきたいと仰っていた菅野先生はまずショパンの財布事情や弟子たちとの関わりといった、人間性について語られました。ショパンは弟子たちに自分の書いた音楽を押し付けるのではなく、その時の気分によって譜面を変えていたというエピソードがあり、それによって現在様々な出版社から数パターンの楽譜が出版されているという事実には驚きました。ショパンは譜面によっても解釈が異なるため、コンクールにはあまり適していないことも演奏者、指導者として知っておくべき点だと仰いました。

 ワルツとマズルカの楽曲を今回取り上げられましたが、どちらも3拍子であるものの、ワルツは女性の弟子やお世話になった方への贈答曲、マズルカは自分の故郷への思いを語るプライベートな曲、とそれぞれの性格の違いを強調されました。マズルカはリズムだけで捉えるのではなく踊りの動きのイメージをつかむことが重要と指摘されました。

 「Op.64-1」ではタッチとペダルの深さで音の濁りの調節や曲の最後の余韻の残し方、「Op.64-2」では6回も出てくる同じパッセージをどうすれば単調でなく曲想に添うように弾けるか、「Op.64-3」では単純そうに思える部分であっても繊細な和音の動きに注意するといった実際に役立つポイントをいくつも紹介されました。受講された方は誰もご存じなかったという「エミール・ガイヤール」の楽曲の素晴らしさも紹介されました。「マズルカOp.59-1」は誰にも献呈されていないことから、ショパンの晩年の孤独や幸せだった時代の回想、音楽を作ることで現在の孤独を和らげようとしているなど、内面に深く斬りこみ、テクニックだけでは表現できない豊かな情景について考え深く仰いました。

 技術や楽曲の捉え方、楽曲に対するご自身の考えなど多方向にわたってショパンについて学んだ貴重なひと時でした。

 次回は7月25日「練習曲よりOp.10-12,10-10,25-5」「ノクターンOp.9-2,62-2」を取り上げられます。菅野先生のショパンの楽曲に対する真摯な考えと充実したお話を楽しみにしております。

(M.H.)

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