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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
『 J.S.バッハ:インヴェンション 』〜分析と演奏の手引き〜(全5回)
第4回 2016年 9月16日(金)10:30-12:30 
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
♪第10番 ト長調、第11番 ト短調、第12番 イ長調

   

 中井正子先生のピアノ公開講座『J.S.バッハ:インヴェンション』は今回で第4回を迎えました。

 今回取り上げられたのは、第10番ト長調、第11番ト短調、第12番イ長調です。各曲丁寧に分析したあと、演奏上のアドバイスが行われました。

 第10番ト長調の一番の特徴は、主題が分散和音で書かれているということ。上声と下声で書かれた主題は、腕を上下させるのではなく、指を一本一本分離させて、つけねから上げるようにして弾くことで、ノンレガートにできます。指をできるだけ動かすようにするうちに、ノンレガートの感覚がわかってきます。主題のあとの第4小節からの反復進行は、それがわかるように拍頭にテヌートを付けています。意識して弾くようにすると音に表れてくる、とのことでした。

 装飾音は頭でそろえて弾くのがバロック音楽の慣習なので、先に出てしまわないように。また、第20小節などに見られる、トリルのあとにタイでつながる際は、最後にきちんとその音を残すようにします。

 完全終止の出てくる部分では、トニックに戻る前のドミナントにより重きがあることを感じて弾きます。

 第11番ト短調は書法が難しくなっていますが、演奏表現もまた難しいです。

 高い音は響きにくいので、上声主題をより出すようにして弾きますが、同時に下声の対位主題の半音階をしっかり聞きます。この下がる半音階は不安等を表すものです。この後に出てくる対位主題は上行します。

 第8小節や第9小節をはじめとしてたびたび出てくる掛留音は、その響きをしっかり聞くようにします。第13小節頭など、休符にならないように気をつけます。

 第12番イ長調、下声は拍の頭が3度下降になっているので、意識して弾きます。第5小節で第一の反復進行、第7小節で第二の反復進行が出てきます。後半にも同じ形で反復進行が出てきますが、この上声と下声の受け渡しの入りを大事に。第19小節の倚音は、倚音そのものが大事なので、重みをつける感じで弾きます。

 対位法というのは、声部が同等です。二声のインヴェンションで、この弾き分け、聞き分けがしっかりできるようにしておくと、三声になったときにも声部を弾き分けられるようになります。そのためには、片手で弾きながらもう片方の声部を歌ってみるといい練習になる、とのアドバイスもありました。

 次回10月14日(金)がいよいよこの公開講座『J.S.バッハ:インヴェンション』の最終回となります。

[A.Y]

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