トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > 中井正子 ピアノ公開講座 > 開催レポート

中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
『 J.S.バッハ:インヴェンション 』〜分析と演奏の手引き〜(全5回)
第3回 2016年 7月8日(金)10:30-12:30 
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
♪第7番 ホ短調、第8番 ヘ長調、第9番 ヘ短調

   

 中井先生のバッハ《インヴェンション》の好評の公開講座も今回が第3回、折り返し地点にさしかかりました。

 今回の講座ではホ短調の第7番、ヘ長調の第8番、ヘ短調の第9番までが取り上げられました。第7番は、前回最後に取り上げられたホ長調の第6番と、同主調で対比がなされているばかりか、曲調も明瞭に対比されています。第6番はシンコペーションや和声的な様式によって作られていた一方、第7番は短い動機の模倣が中心となっている、というトピックに先生は着目されていました。後者を演奏する際にも、やはり模倣によって生み出される反復や発展、ストレッタを意識することが肝要、とのことでした。

 第8番、第9番も、第6、7番のペアと同様、明らかに対比されている曲、と先生は指摘されていました。第8番はカノンによる高度な技術と、器楽風のコンチェルティーノの作法が重視されています。演奏の際には、上述の構造の観点以外にも、左右の細かい音形がバラバラにならず、揃って聴こえるようにすることに気をつけなくてはならず、そのためにはたとえばリズムを変えて練習してみるといい、と提案されていました。

 第9番は、かなり長い主題によって全曲が支配され、それがくまなく張り巡らされている曲です。また、バッハの代名詞と言っていい対位法よりも、古典派、ロマン派、近代とドイツの作曲家に綿々と受け継がれることとなる、有機的な主題法を学ぶことがそれぞれ重視されているそうです。先生のご指摘も、主題や対旋律の扱いを細かに示すもので、示唆に富んだものでした。

 中井先生のご指摘は、基礎的なものから、音楽の構造の深遠までを見通すようなものまで広くに渡っていました。《インヴェンション》講座は残り2回ですが、先生も「だんだん難しくなってくる」と指摘された後半部の分析・演奏の秘儀を、次回以降お聞かせくださることでしょう。

〈A.Y〉

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > 中井正子 ピアノ公開講座 > 開催レポート