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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
『 J.S.バッハ:インヴェンション 』〜分析と演奏の手引き〜(全5回)
第2回 2016年 6月24日(金)10:30-12:30 
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
♪第4番 ニ短調、第5番 変ホ長調、第6番 ホ長調

  

 中井先生による、バッハ《インヴェンション》をテーマとした公開講座の第二回が開催されました。前回に引き続き、多くの方々がご来場され、使用テキストにメモを取りながら熱心に講座をお聞きになっていました。

 先生はまず、第一回では詳しくは触れられなかったながらも、非常に重要なこととして、《インヴェンション》全15曲の配列の歴史と、そこから見えるバッハの教育的意図について、詳細に解説されました。

 さて、それぞれの楽曲を取り上げられる際には、先生は楽曲の構造と、実際に演奏するときに重点におくべきことの両面から解説されていました。楽曲として最初に取り上げられた第4番ニ短調は、前回の第3番ニ長調と「ペア」になる曲で、どちらも舞曲風の曲想を持っています。中井先生は「減七度」の音程が続く「無窮動」的な特徴にも注目されていました。奏法に際しては弦楽器の毎音符弓を返す「デタッシュ」奏法が暗示されているとして、各々の音符をしっかりとアーティキュレートする必然性を強調されていました。

 第5番変ホ長調は、ペアになる短調楽曲がなく、独立した楽曲で、フーガ的な書法が特徴的です。ペアの欠如は、本来対になる変ホ短調がフラット6つの調であり、当時の通例で、調号は4つまでしか書かれなかったことを理由としているとのことでした。演奏の際は、休符の扱いや対主題の重要さ、そして音形による自然な表現が重要になってくると先生は仰っていました。

 第6番ホ長調は、先生曰く「今までの5曲とは違う」内容の曲です。そのポイントとして挙げられていたのは、シンコペーション、音価の細かさ、転回対位法、そしてバロック舞曲の二部形式と古典派の三部形式という「新旧の形式の融合」でした。演奏する際にも、以上のことを踏まえた「ソルフェージュ」の基礎がきちんとしていないと美しい演奏はできないため、まずはその訓練をしなければいけない、ということを先生は強調されていました。

 時として先生は、「前回の内容と共通しますが……」と前置きしつつアドヴァイスをされていました。それが意味しているのは、バッハの《インヴェンション》にそのような内容が通底しているということ、またそれらが、先生がご経験から得られた《インヴェンション》を指導・演奏する際に重要な、心がけるべき部分であることだということでしょう。前回・今回聴講なさらなかった方でも、次回以降の講座にいらっしゃることで、きっとバッハ演奏のエッセンスを掴み取ることができるはずです。

〈A.Y〉

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