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高橋千佳子先生の フォルマシオン・ミュジカル 開催レポート
〜今日から実践!ソルフェージュ指導法講座 第2弾〜
「チェルニーから学ぶ!!」
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
<第2回> 2016年6月1日(水)10:00開場 10:30開講
♪チェルニー 100 番 Op.139 Vol.2
「100 のやさしいレクリエーション」第27 番〜 33 番

 

 6月1日パウゼにて、作曲家の高橋千佳子先生によるフォルマシオン・ミュジカル講座「チェルニーから学ぶ」シリーズ第2回目が開催されました。ピアノ学習者にとってお馴染みのチェルニーの練習曲をソルフェージュの視点からアプローチし演奏の実践につなげる画期的な内容が魅力の講座です。

 前半は《チェルニー100番練習曲》より第62番から第100番です。今回、先生が主に解説してくださったのは「調号の多い曲」についてです。第62番では♭4つ、第63番では♭5つといったように、調号が一気に増えて大変になります。これらの曲を通して「このような調性があるのですよ。」と紹介するだけでも良いのですが、少しでもハードルを下げるために、曲に入る前の導入として音階を1オクターヴ弾かせたり、ドミナントの響きを味わってもらうなど、その曲の調性に慣れてもらうことから始める方法を提案されました。

 第87番からは異名同音調への転調も登場します。これらは非常に高度なソルフェージュ教材にもなるとのことで、一緒にCDを聴いたり、教師がピアノで旋律をなぞってあげたり、旋律のアーティキュレーションを感じながら一緒に歌ったり、旋律の冒頭を聴音させる方法などを教示してくださいました。

 他にも、古典派音楽の中心となった「ソナタ形式」(第77番)や、ロマン派の特徴的な形式の一つである「キャラクターピース(性格的小品)」(第80番など)、ソナチネアルバムに載っているベートーヴェンの《ピアノソナタト短調》Op.49-1を彷彿とさせる曲(第82番)もご紹介されました。チェルニーが古典派からロマン派時代の作曲家であることと、ベートーヴェンの曲を弾けるように練習曲を作曲したことがよくわかる例で、非常に興味深かったです。

 後半は、先生が解説を手掛けられたチェルニー《100のやさしいレクリエーション》です。この曲集は、一曲が短くまとめられ、実際の音楽作品などがシンプルに編曲されているため、音楽的にソルフェージュを学ぶための教材としても有効とのことです。今回は、第27番から第33番の7曲を例に、「プレリュード」、「ドミナント」、「加線」、「形式」、「初見」、「移調」の6項目について詳しく解説してくださいました。

1.)プレリュード

 チェルニーは、V度からI度の和音のみでもプレリュードが成り立つことを述べていたようです。プレリュードは、オルガンのストップを設定して試し弾きをすることに由来します。この曲集では新しい調性の曲が出る度に、その予備として音階や分散和音にカデンツがついたプレリュードが置かれています。これについて先生は、本来のプレリュードの形で登場していると仰っておりました。

2.)ドミナント

 ドミナント(V度)は、トニック(I度)による解決が必要になります。ドミナントの響きを体感するために「規律、礼、着席」の例を挙げられたことが印象的でした。また、第30番と第33番の左手に、V度の連打によるドミナントペダルが登場します。これは、トニックで解決した時の安心感を強める効果があるのだそうです。

3.)加線

 第33番の右手の旋律を例に、隣の音が順次進行しているか、3度で跳躍しているかということに注目する視覚的な方法と、教師が旋律を弾きながら音符を読んで、生徒にオウム返しに読ませる聴覚的な方法を伝授してくださいました。

4.)形式

 ここでは、2部形式(A-B)と3部形式(A-B-A)についてAとBの違いと、Aが再び戻ってくるか、そうでないかということを聴覚的に教え、両方の形式が聴き分けられる耳を育てることと、楽譜で各部分のモティーフなどを探してもらう方法を解説されました。この方法は、楽曲分析能力と初見能力の向上に役立つとのことです。

5.)初見

 初見では、楽譜を予見するときにどれだけ分析ができるか、特に伴奏の和音の動き方を見ることが大切になります。そのため、早い時期から属7などの基本となる和音の転回形を教えます。また、和音の形によって指使いが決まっているため、指使いと音が直結するように教えることもポイントとなります。

6.)移調

 移調する箇所の音の動き方を見て、原調と移調する調性の音程関係に従いながら音を移す方法をお教えくださり、実際に第27番の冒頭のモティーフを用いてハ長調からニ長調への移調を行いました。

 先生の明快なレクチャーのもとで実践しながら楽しく学ぶことができ、非常に密度の濃い2時間でした。次回は7月6日(水)に開催です。今から心待ちにしております。

(K.S)

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