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松本和将 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲 公開講座&全曲演奏会第5回 開催レポート 
〜若き巨匠、松本和将氏による ピアノ・ソナタ全32曲講座&演奏シリーズ〜
◆コンサート
2016 年3月8日(火)19:00 開演 18:30 開場  
♪ピアノ・ソナタ 第12番、第18番、第19番、第21番「ワルトシュタイン」
会 場/カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

  気鋭のピアニスト、松本和将さんによる長大なプロジェクト「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲公開講座&全曲演奏会」も、ついに後半戦に突入。第5回となる今回も、事前に行われた公開講座で解説した4曲のソナタ――第12番、第18番、第19番、第21番「ワルトシュタイン」が、リサイタルという形で演奏されました。

 冒頭は第12番。ベートーヴェンはこの第1楽章で、初めてソナタ形式を用いずに変奏曲を配置したという、画期的な作品です。この変奏曲、何という静けさ、穏やかさでしょう。松本さんの演奏は、優しいぬくもりに包まれていました。一転して躍動する第2楽章スケルツォは、ワクワクする展開。第3楽章「葬送行進曲」は一歩一歩が重々しく、荘厳な雰囲気に圧倒されます。ラスト第4楽章は、清らかな小川の流れのような爽快感に満ちていました。

 続いて第18番。愛らしい第1楽章を、何て楽しそうに演奏するのでしょう。勇壮な第2楽章スケルツォは、意外な展開に驚きっ放しでした。ナチュラルな第3楽章メヌエット。聖なる調べに感極まります。第4楽章は痛快でワイルド。次から次へと限りなく連なる8分の6拍子のリズムが炸裂します。その爆発力! このように改めて通しで聴くと、凄まじい曲なんですね。

 休憩を挿んで第19番。ソナチネアルバムにも収録されている小さなソナタですが、決して手軽な曲ではありませんね。深いです。第1楽章は悲哀に満ちていて、何て切なくて美しいのでしょう。パッと場面転換しての第2楽章ロンドは、軽快に進行する中にしっかりとドラマが。これまた驚きの名曲であることに気付きました。

 最後の曲は、ついに来ました、第21番「ワルトシュタイン」。静寂の向こうから迫ってきたのは第1楽章、お馴染み和音の連打。延々と続く連打に、緊張の糸がピーンと張りつめます。松本さんの演奏は最上級の疾走感で、聴き手をノンストップでぐいぐい惹き付けます。すご過ぎです。そしてラスト第2楽章は、まさに天上の音楽。会場はみるみるうちに、輝く音のシャワーで満ち溢れました。そのゴージャスなこと! 音量をマックスに上げても、松本さんの音色は芳醇でまろやかです。その心地の良いこと!

 ベートーヴェンの4曲のピアノ・ソナタ。やはりどの曲も、至高の名曲ですね。本番の演奏で充分感動できるのですが、講座で松本さんの解説を聴いてから本番を聴くのも、得難い体験です。理解が深まり、面白さが増し、味わいが一層深くなるでしょう。

(H.A.)

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