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松本和将 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲 公開講座&全曲演奏会第5回 開催レポート 
〜若き巨匠、松本和将氏による ピアノ・ソナタ全32曲講座&演奏シリーズ〜
◆公開講座
2016 年2月25日(木)10:30〜12:30  
♪ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49-1 第21番 ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」
会 場/カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 気鋭のピアニスト・教育者として国内外で活躍されている松本和将先生による人気公開講座・演奏会シリーズ「松本和将ベートーヴェン:ピアノソナタ全曲公開講座&全曲演奏会」が開催されました。ベートーヴェンの全ソナタを講演するこのシリーズも3分の2を過ぎ、今回は《第19番ト短調 op.49-1》《第21番ハ長調 op.53「ワルトシュタイン」》を扱われました。

 ピアノの学習者はもちろんのこと、コンクールや受験曲でもおなじみの《第19番》では、短調特有の旋律を歌うだけの表現ではこの曲は弾けないと仰いました。一見簡単そうに思えるテーマであっても、流れを意識し1音1音を指で捉え、指のテクニックが必要となることを強調されました。松本先生は指のテクニックとして(1)指が独立して動く(2)他の指へ影響しない(3)指の柔軟性(4)指の支え、が基本であると仰り、各項目を弾きながら解説されました。第1楽章のテーマでは、それらのテクニックがあるのとないのでは表現の幅が大きく異なると実感しました。また、最近の生徒さんはスケールやアルペジオが弾けないことが多いことも注意点として挙げられました。ベートーヴェンを含む古典派の曲は、スケール・アルペジオ・和音でほとんどが成り立っているため、それらの技術が未熟であると表現が不十分なものになってしまうと仰っていました。そうならないためにも、スケール・アルペジオは正しい打鍵で全ての調で弾く、という練習方法を紹介して下さいました。

 ベートーヴェン中期の名作である《第21番「ワルトシュタイン」》では、オーケストラの響きを知らなければ豊かな表現へつなげる音ができないと仰いました。そこで、同時期のオーケストラ曲からワルトシュタインと同じ調性である《交響曲第5番「運命」》、中期の作品の中で最もシンプルに書かれた《ピアノ協奏曲第3番「皇帝」》の音源を聴きながら、オーケストラとピアノの響きの違いについて解説されました。特に興味深かった点は和音の弾き方でした。オーケストラの楽器の多彩な音色を余すことなくピアノでも再現するために、同じ和音であっても各音域によって音色を変えて演奏されているというお話から、これが松本先生の豊かな表現の秘訣であるのだと大いに納得しました。

 ワルトシュタインは長大な楽曲であるため、曲の骨組みをワンポイントアドバイスを交えながらお話しされました。2楽章の最後の音への思いや、3楽章のベートーヴェンのロックな一面まで、時に熱く時に楽しくお話しされ、瞬く間に時が過ぎていきました。

 今回も松本先生の講座ではおなじみの曲への物語付けもあり、盛りだくさんのアドヴァイスやお話で、非常に充実した時間となりました。この講座を聞き、より一層ベートーヴェンの音楽への理解を深めると共に、次回の演奏会が楽しみになりました。いよいよソナタの終盤へと向かいますが、松本先生が今後どのようなアプローチをなさるのか、今からとても楽しみにしております。

(M.H.)

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