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ピアニスト 田崎悦子 大人のためのピアノ・マスタークラス 開催レポート
Joy of Music 40+ Vol.6 
第2回 2015年10月16日(金)10:00開場 10:30〜12:30  
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 世界的なピアニストとして活発な演奏活動を続けながら、「田崎マジック」と呼ばれるレッスンが好評の田崎悦子先生による大人のためのマスタークラスが行われました。アラフォー以上の大人を対象としたマスタークラスで、そのVol.6。このシリーズは、受講者が2週間の間に2回のレッスンで同じ曲を弾くところに意味があります。今回はその2回目です。受講生は3名。

 1人目の受講者は、末木要子さん。曲目は、ショパンのエチュードOp.25-1と、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」Op.13の第1楽章。

 末木さんはまずショパンのエチュードから演奏しましたが、田崎先生は「悲愴」からレッスンを始めました。

 まず最初の和音の出し方を入念にアドヴァイスされました。最初の音を弾くとき、もし指揮者ならオーケストラに対してどのように振るかをイメージすること、つまり音の前のアウフタクトのテンポが大事だそうです。この最初の音(同じフレーズの頭の音も)にはfpが付いていますが、sfにならないようにfを出した後は必ずpにしなければなりません。末木さんはナチュラルなfの音を持っているので、むしろpを意識するように、とアドヴァイスを受けました。アドヴァイスどおりに弾くと、fとpとのメリハリがはっきりした、魅力のある演奏になりました。

 ショパンのエチュードでは、指を回すことを先に考えて弾くと、聴く側は何を弾いているか分からないので、自分が弾いているのを客席で聴いて、自分にどう弾かせたいのかイメージをして弾くと良い、そして天から降って来る音を指がなぞっているだけとイメージして、とアドヴァイスなさいました。

 2人目の受講者は、天野鑑代さん。曲目は、ブラームスの3つの間奏曲Op.117。

 第1番変ホ長調は子守唄から発想を得て書いた曲で、赤ちゃんへの愛、これ以上ない最高の愛に満ちた歌なのです。その愛を歌いたいので、pをより大切に、愛おしく弾いて欲しい、とアドヴァイスされました。

 第2番変ロ短調は、ブラームスの究極の優しさ、温かさが感じられる曲なので、まずイメージすることが大切。イメージしないと自分の音楽で弾いてしまう。そうするといつもの癖で弾いてしまうから、自分が弾いているのではなく、私(田崎先生)が感動するくらい上手い人が弾いているとイメージして、そのように弾くといい、とアドヴァイスされました。

 第3番嬰ハ短調では、身体の使い方をアドヴァイスされました。音楽が要求する音に身を委ねるように身体を使う、そして毎日それを意識して弾くと、公開の場に出ても身体は硬くならない。脱力すると耳も開きますが、身体に力が入ると耳も塞いでしまうそうです。

 この日最後の受講者は、直江慶子さん。曲はショパンのスケルツォ第2番Op.31です。

 ここでは、練習の仕方についてのアドヴァイスがなされました。さらい方としては、音の一つ一つをケアして弾くこと。部分部分を仕上げていかなければ、曲は仕上がらない。一口ずつよく噛んで、ゆっくり味わって胃に送り込む。よく噛まず、味わいもせずに早く食べてしまおうとは思わないこと、と食べ物に例えて分かり易く説明されました。

 またここでも、自分以外の人が弾いていることをイメージして、ゆっくり弾いて、聴いて感じること、そして練習で手に注意を向けるのではなく、喜びを感じることが大事です、とアドヴァイスされました。

 3人の受講生に対するレッスンで、イメージすることの大切さを強調なさいました。確かに3人ともそのアドヴァイスの後の演奏が素晴らしくなるのを目の当たりにして、それがいかに大切なことかがよく分かりました。まさに「田崎マジック」を感じられたレッスンでした。

(K.Y.)

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