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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『ピアノと仲良くなれるテクニック講座』 シリーズ Vol.2 開催レポート
第5回 2016年12月7日(水) 
テキスト 14,15,17章より(ポリフォニー、和音、重音)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ

  

 丁寧で熱心な指導法に定評があるピアニストのパスカル・ドゥヴァイヨン教授による公開講座、「ピアノと仲良くなれるテクニック講座」のシリーズVol.2の第2回(通算第5回)が行われました。

 この講座は、ドゥヴァイヨン教授の同名の著書(音楽之友社刊)をテキストとして、受講者から事前に寄せられた質問を元に進められるという、新しい形の公開講座です。通訳は、同書の訳者でピアノデュオのパートナーでもある、夫人の村田理夏子さんです。

 今回のテーマは、テキストの第14章(ポリフォニー)、第15章(和音)と第17章(重音)についてです。

 今回は上記の順番どおりではなく、以前に寄せられた「ショパンのエチュードOp.25-8の練習の仕方について詳しく知りたい」という質問が、今回のテーマの一つ「重音」に関することなので、このテーマがまず取り上げられました。

 この曲に限らず、「重音」に共通して大事になるポイントがいくつかあるそうで、その一つである「軽さが大切になる」ということを中心に解説されました。例えば、指で弾くためには指に邪魔になる重さをかけないようにしなければなりませんが、そのために腕は軽く構えます。そうすると、本能的に肘を外へ張り出してしまう人が多いそうです。指先を軽くするために、腕を背中の筋肉で支え、肘は体のそばになくてはいけない、ということなどです。

 また、重音の練習の仕方に付いては、質問のショパンのエチュードを例に、声部を別々に、一声部ずつ練習するとか、重音を取る場合の手の向きの基本、繰り返し練習する場合には、短い所を何回もゆっくり弾くことが最も効果的などと、非常に細かくアドヴァイスなさいました。

 「和音」については、「オーケストラの楽器を真似した感じの音を出したい」という質問の「和音の音色を変えたい」ということについては、「基本的には、本当の意味でピアノを他の音色に変えることはできないので、ピアノでできることをする」とおっしゃり、ラヴェルの「鏡」やドビュッシーの「水の反映」を例に、ハーモニーのバランスと強弱とで色を生み出すとか、ベートーヴェンの「告別ソナタ」の冒頭を2本のホルンの音のように聴かせるには、2声とも同じに聞こえるように弾くとそのように聞こえるなど、弾いて示してくださいました。

 「ポリフォニー」では、全部の声部を全部一度に聴くことはできないそうです。オーケストラの指揮者は、オーケストラに対して客観的な目で見ていて、10の内8分からなくても、何かその8の中で問題が起こったら気が付いてすぐに対処します。ピアノでも同じで、まず楽譜を映像として記憶します。これは少しずつ訓練することで、できるようになるそうです。そして一声ずつ覚え、全てを練習しておく、準備しておくことが大事だとアドヴァイスをくださいました。

 定刻が過ぎても聴講者の多くの質問に分かり易く丁寧に答えていらっしゃいました。

 次回第6回は、2月28日(火)に、「暗譜」「テンポと緊張」「ピアノに向かって」をテーマに行われます。

(K.Y.)

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