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パスカル・ドゥヴァイヨン 教授の
『ピアノと仲良くなれるテクニック講座』 シリーズ Vol.1 開催レポート
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
第1回 2015年9月24日(木) 10:00 開場 10:30 開講
テキスト 1-3章 より(美女、野獣、練習)

 

 2011年に音楽之友社より出版された『ピアノと仲良くなれるテクニック講座』の著者パスカル・ドゥヴァイヨン先生の講座が本日から全3回にわたり開催されます。本講座は、先生の著書をテキストとし、その内容に沿って受講生の皆様から事前に寄せられた質問をテーマにレクチャーをしてくださるという全く新しい形で展開されます。通訳を務められたのは、ドゥヴァイヨン先生奥様でピアニストの村田理夏子先生。実践を交えた非常に明快なレクチャーに、受講生の皆様は熱心に耳を傾けておられました。

 第1回目となる本日は、テキスト第1章から第3章をメインに、「楽にすること、そしてそれをどのように指導したらよいか」、「打鍵の速度と強弱について」の2つの質問をテーマに講座が進められました。

1.楽にすること、そしてそれをどのように指導したらよいか

 ここでは、ピアノを弾く時の余分な緊張の原因と、必要な筋肉をどのように使うかということを解説されました。余分な緊張は、「身体からくる緊張」と「精神からくる緊張」に大別されます。

 まず「身体からくる緊張」については、打鍵してさらに鍵盤を押したり打鍵後すぐに力を緩めないことでかかる余分な圧力、日常生活の動作ように自然な力で指を降ろせないことで起こる筋肉同士の衝突、そして、手の内側(手のひら)の筋肉の力不足などが挙げられます。特に手の内側の筋肉がしっかりしていないと指を十分に支えられず、その結果、高い位置から打鍵したり、腕を固めるなどして身体の他の部分で補おうとしてしまいます。改善の方法として、筋肉の重さを意識すること、椅子に正しく座ること、腕を楽に保ったまま指先で鍵盤にコンタクト(接触)することを挙げてくださり、立った状態での脱力の仕方や、正しい椅子の座り方などを教示してくださいました。

 つづいて「精神からくる緊張」については、気持ちの準備不足、無知からくるもの、自信不足が原因となります。これについては、弾く前に声で曲を歌うこと、ポジティブな気持ちで弾くこと(指導する側は、生徒に失敗することへの恐怖を覚えさせず、音楽をすることへの喜びを失わせないようにすることがポイントとなります。)、音楽を聴くこと(先生と生徒が一緒に聴くことで生徒の心を開き、音楽の幅を広げることにも繋がります。)、作曲家の伝記などの本を読むことなどを提案されました。

2.打鍵の速度と強弱について

 ピアノの打鍵は、ハンマーの落ちる速度で決まります。ここでは、指に余分な圧力をかけずに、指本来の「自然な重さ」で打鍵することを解説されました。しかし、「自然な重さ」だけでは限界があるため、必要な音量に応じて指−−前腕−−腕−−背中の順に重さを加え、そのエネルギーを素早く指先に送り、打鍵後すぐに力を抜かなければなりません。それらの打鍵のタイミングは常に指先で作るために、指先の感覚を育てることや、音を聴くこと、やはりここでも手の内側の筋肉をつけることの大切さを述べておられました。

 最後の質問コーナーでは、受講生の皆様から、手に余分な圧力がかかりやすいレガートやオクターヴの楽な弾き方や、打鍵するときの手の形、難曲を弾くときの手の成長とのブランクの埋め方など、有意義な質問がたくさん寄せられました。ドゥヴァイヨン先生は、効果的な指導方法を交え一つ一つを丁寧にお答えくださいました。中でも、テクニックはイメージした音を再現するためのものあること、生徒一人一人の手に応じて無理をさせないこと、手の筋肉が育つまでは、音楽とは別にテクニックの強化も併せて行い、筋肉の柔軟性を育てることを強調しておられました。

 この紙面ではほんの一部のご紹介となりましたが、ピアノ奏者が直面する困難について、基本から丁寧にアドバイスをしてくださり大変充実した講座となりました。次回は、12月10日(木)に開催されます。今から非常に楽しみです。

(K.S)

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