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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)
第6回 2015 年12月4日(金)10:30‐12:30
♪ピアノ協奏曲 第2番より 第1 楽章
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
中井正子先生による公開講座「ショパンを弾く!!」の第6回目からは、協奏曲第2番です。第2ピアノは、第1番に続いて見崎清水さんです。この曲は第2番ですが、作曲されたのは第1番の前年の1829年で、ショパン19歳の時の作品です。若い時に2曲の協奏曲を続けて書いたことになります。
この第1楽章もソナタ形式で書かれていますが、第1番同様にソナタ形式の定型とは違う書き方がされているようです。
まず提示部までを演奏してから、全体がどう書かれているかが説明されました。この曲はオーケストラの序奏が長く、第1主題で始まり、第2主題も登場して、71小節でようやくピアノ・ソロが出てきます。この最初の音がとても大事で、指揮者(オーケストラ)と息を合わせて一緒に出ますが、ホンの一瞬ためて出ると効果的だそうです。オーケストラはいきなり第1主題で始まりましたが、ピアノ・ソロには導入部が少しあり、それに続いて第1主題が登場します。
その後81小節でオーケストラが出てくるまでピアノ・ソロは歌っていいのですが、必ず拍子の中で歌うことを忘れてはいけません。オーケストラと一緒の時は、これが最も大事なことだと今回も強調されました。ピアノ・ソロ曲の場合の歌い方は、弾く時々で違うのが魅力の一つですが、オーケストラと一緒の時は、最初の合わせ、あるいはゲネ・プロで弾き方を決めたら、本番で変えてはいけません。
82小節からオーケストラにはなかった新しい動きが出てきて、101小節からが移行部で、125小節から第2主題になります。
第1主題と第2主題との間に移行部が出てきますが、この移行部というのは第1番でも説明されたカデンツァのようなパッセージで、つなぎの場所であって音楽的に聴かせる所ではなく、ピアニスティックに書かれていて、テクニック的なものを見せる難しい箇所です。
パッセージには装飾的な、声楽のコロラトゥーラのようなものもあります。ショパンはこうした飾りが非常に上手く、またオペラが好きでしたので、この装飾的なパッセージは、フレーズの終わりやつなぎの所など、ソロ曲でもよく出てきます。ところが移行部のパッセージは、装飾的なパッセージとは違ってカデンツァ的なものですから、技巧的な書き方がされています。
その後も構成を説明しながら、音符がたくさんある所の弾き方や、左手が8分音符で刻む所は左手を大事にキチンと弾くこと、1、2指と3、4、5指とでは使う筋が違うこと等々、1楽章を最後まで細かく説明してくださいました。そして、オーケストラの音をよく聴きながら弾くこと、オーケストラがどこで入るかが分かるように弾くこと、と再三強調なさっていました。オーケストラと一緒に弾く時にはこのことがいかに大事かがよく分かる講座でした。
次回は新年の1月29日。このシリーズの最終回で、第2楽章と第3楽章です。
(K.Y.)
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