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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)
第5回 2015 年11月6日(金)10:30‐12:30
♪ピアノ協奏曲 第1番より 第2・3 楽章
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 中井正子先生による公開講座「ショパンを弾く!!」の第5回目は、協奏曲第1番の第2、3楽章です。第2ピアノは、前回に続いて見崎清水さんです。

 2楽章の演奏に入る前に、まずショパンがワルシャワの親友に宛てた手紙が紹介されました。その手紙によると、ショパンはこの2楽章を最初はAdagioで構想していたようです。現在の出版譜ではLarghettoとなっています。これはLargo程重くなく、やや軽めで、テンポも遅い表示の中では前に進める意味合いがあるということで、凄く遅くなってしまわないように注意が必要だそうです。更に手紙では、この2楽章をロマン的で静かで穏やかな、追憶を思い起こさせる場所を眺めるような、そんな印象を起こさせようとした、とあります。これで2楽章に対するイメージは多少できるでしょう。

 演奏の後に構成が説明されました。大きなセクションに分かれていて、その中にいくつかのピリオドがあります。最初はオーケストラの導入部があり、ピアノ・ソロが始まるところからRomanceになります。これがピリオド1で、23小節からがピリオド2、31小節からがピリオド3、39小節からはピリオド3の変奏、46小節からはピリオド4……といった具合です。そしてそれぞれのピリオドでの弾き方や注意を細かくなさいました。ピアノ・ソロの部分では弾き方は自由ですが、オーケストラが聴いているので決して拍はぶれないように、オーケストラに不安を与えてはいけません。オーケストラが入ってくるときに一緒に入れるように、自由に弾いた時にはテンポを戻して、オーケストラに分かるように弾くことが大事です。ソロを練習するだけでなく、誰かにソロを弾いてもらってその伴奏を弾いてみると、自分はオーケストラが入り易いように弾いているかどうかがよく分かるそうです。

 第3楽章はポーランドの民族舞曲風で、ロンド形式で作られていますが、本来の形式を無視しているところもあるようです。本来はロンド─クープレ─ロンド─クープレ─ロンド─クープレ─ロンドとなるのですが、ロンド1─オケの間奏1─ロンド2─オケの間奏2─ロンド3─クープレ1─クープレ2─クープレ3─ロンド1の再現─ロンド2の再現─オケの間奏1─ロンド3の変奏─オケの間奏2……というようになっています。クープレ1はクープレ2に行くためのパッセージ(移行部)で、音楽的には重要ではありませんが、技巧的に書かれていてピアノは非常に難しい所です。クープレ2はオーケストラが舞曲風でピアノは聴かせ所ですが、オーケストラの演奏が違えば、ソロも入り方が変わりますので、臨機応変に演奏しなければなりません。

 自分一人ではない協奏曲では、何が起こっても対応できるようにすること、自分が伴奏だったら合わせられるか、常にオーケストラのことを考えて弾くことが大事です、と強調なさいました。

(K.Y.)

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