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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)
第4回 2015 年10月9日(金)10:30‐12:30
♪ピアノ協奏曲 第1番より 第1楽章
《使用楽譜:パデレフスキ版》
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
中井正子先生による公開講座「ショパンを弾く!!」は、この第4回からいよいよこの講座の眼目である協奏曲に入りました。第1番と第2番とをそれぞれ2回ずつ、4回にわたって行われます。その最初は、第1番の第1楽章が取り上げられました。講座は、オーケストラの部分を第2ピアノが演奏するという2台のピアノで行われました。第2ピアノは、中井先生が子どもの頃から指導なさったという見崎清水さん。見崎さんは桐朋学園大学を経て東京藝術大学大学院修士課程を修了した優秀なピアニストで、第1番、第2番共に第2ピアノを担当します。
演奏の前に楽譜に関してのお話がありました。ソリストとして演奏する場合には、2台ピアノにアレンジされたピアノ・スコアだけでなく、指揮者がどの版のスコアを使用するのかを知り、同じスコアを読み込んで、オーケストラがどういうことをしているのかを知ることが大事だ、ということです。協奏曲はオーケストラとピアノとで一つの音楽を作っていくわけですから、ピアノ・パートだけをさらっていては意味がないのです。
また、そのスコアに記されている練習番号(記号)を自分の楽譜に書き写しておくことも必要です。それはオーケストラとの合わせの時に必要になってくるからです。
オーケストラのパートを担当する場合には、スコア・リーディングができれば最善ですが、2台ピアノ版を使う場合でも必ずしも楽譜どおりに弾く必要はなく、やはりスコアを読んでオーケストラがどのようになっているかを考え、オーケストラが鳴るように弾く、できるだけそれに近づけて弾くことが大切だそうです。
演奏に際して中井先生はいろいろと注意をなさいましたが、ここではそのごく一部をご紹介します。
ショパンの曲は「歌」が多いので自由に歌いたいところですが、オーケストラがいるので、あまり勝手なことはできません。ソロ曲を弾く時よりも規制があります。大事なのは拍節感です。ソロのところは充分に歌っていいですが、自由なことをしたら、オーケストラが合わせられるように拍感を戻すことが必要です。拍感のない演奏はしないこと。
この第1楽章はソナタ形式に則って書かれています。主題提示部の第1主題と第2主題との間の移行部はピアニスティックに書かれていて、ソリストの見せ場ではありますが、あくまでtranquilloで強くならないように。
提示部から展開部へ移行するオーケストラだけのところは、知らん顔していないでよく聴いていること。
コーダに入る前にオーケストラはテンポを決めているので、ピアノはきちんと入らないと大変みっともないことになります。
ソロが終わっても、オーケストラが大事なことをしているから、最後までよく聴いていること。……
実際にコンチェルトを演奏したり生徒に指導したりする機会は普通あまりないことですが、こういった中井先生のアドヴァイスは、演奏する場合だけでなく、聴く場合にも大いに役に立つものと言えるでしょう。
残る3回の講座が非常に楽しみです。
(K.Y.)
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