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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)
第3回 2015 年7月10日(金)10:30‐12:30 
♪マズルカ Op.7-1、Op.24-1、Op.24-2、Op.24-3、Op.24-4
《使用楽譜:ショパン名曲選集26 第1巻(ハンナ)》
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 中井正子先生による「ショパンを弾く!!」講座の3回目は、マズルカ Op.7-1、Op.24-1、Op.24-2、Op.24-3、Op.24-4 の5曲を取り上げました。

 マズルカはポロネーズと並んで最もポーランド的な作品で、民族的なものが真正面から出ているそうです。ポロネーズは宮廷の音楽で、マズルカは民衆の音楽だということです。

 ポーランドの舞曲は、マズールとかクヤヴィアクなど地方によって少しずつ違っていますが、マズルカはそのいろいろな舞曲が混ざり合っています。そうした民族音楽的なものを取り入れてショパンの音楽になっている、と言えるそうです。マズルカはもともと中央ヨーロッパにはない音楽なので、パリの人たちが面白いと感じて、ショパンが受け入れられていったようです。

 1曲目の初級者がよく演奏するOp.7-1は1831年に作曲されたものなので、ショパンがパリに出て来て間もない頃の作品です。マズルカ特有のリズムが見られ、その特徴がよく表れています。

 本来付点8分音符と16分音符とで書かれるリズムが、このOp.7-1では8分音符、16分休符、16分音符というように、間に16分休符を置いています。この16分休符があることで音楽が飛び跳ねた感じに聞こえます。これが民族的なリズムを表現しているそうです。

 曲の構成としては、出だしから12小節までが一まとまりで、13小節から24小節までがその繰り返しになり、ここまでがAの部分。25小節からトリオ風の一つ目の中間部が8小節あり、33小節から再びAになり、45小節から52小節までの8小節が二つ目のトリオで、その後再びAに戻り、曲が終わります。したがって、反復記号による繰り返しを除けば、A─トリオ1─A─トリオ2─Aという構成です。

 この曲ではトリオの部分で雰囲気が変わったり調が変わったりしても、16分休符の入った民族的なリズムは最後まで変わらずに出てきます。また、マズルカのような民族的な音楽は、ワルツのように強拍が1拍目だけに来るのではなく、2拍目に来たり3拍目に来たりするので、そこが面白いし、不思議な感じがするのだそうです。

 この曲も繰り返しが多いですが、やはり同じ弾き方をしないように工夫が必要です。また例えばAからトリオへ移る時なども、何となくそのまま弾くのではなく、はっきり分かるように音色も考えることが大事で、前をどう終わったかによって、次の出方が変わります。演奏する時には、自分がどのように弾くかというコンセプトをしっかり持っていなければいけませんが、本番ではコンセプトどおりにいかないこともあるので、そういう場合は臨機応変に対処することが必要だそうです。いろいろな場合を想定して考えておくことも大事だということです。

 2曲目以降のOp.24の4曲は1834〜35年に作曲されたものですが、Op.7-1と比べると洗練され、様式化されて、より複雑な表現が見られるそうです。

 Op.24-1の解説でも、全体の構成の説明や、弾き方についての注意をなさいました。例えば、ドミナントの大事さや、付けられているアクセントについてショパンのアクセントは大事な音という意味だとか、23小節のアウフタクトから使われている半音階や16分休符がある所とない所とのリズムの違いを意識するとか、対位法的な書かれ方をしている箇所を大事にするなど、細かく解説してくださいました。Op.24の他の3曲でも同様です。

 今回までの3回の講座で、ショパンの小品に対する見方がよく分かり、他の小品に取り組む上でも、大変貴重な勉強になりました。

 10月からの4回にわたる2曲の協奏曲の講座が大変楽しみになりました。

(K.Y.)

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