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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)
第2回 2015 年6月12日(金)10:30‐12:30 
♪ワルツ Op.64-1、Op.64-2、Op.69-1、Op.69-2、Op.Pos
《使用楽譜:ショパン名曲選集26 第1巻(ハンナ)》
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 中井正子先生による「ショパンを弾く!!」講座の2回目は、ワルツ Op.64-1、Op.64-2、Op.69-1、Op.69-2、Op.Pos の5曲を取り上げました。

 作品番号と作曲年代は必ずしも一致するわけではなく、今回取り上げた5曲のワルツも、Op.64の2曲は1846〜47年という亡くなる2〜3年前に作曲された作品で、他の3曲は若い頃に書かれた作品ですので、同じワルツでもこの両者は違う感じで書かれているそうです。

 講座では初期の作品から解説され、「別れのワルツ」と呼ばれるOp.69-1から行われました。1835年に書かれたこの曲のテンポは“Lento”で、踊れないワルツです。踊れるワルツは単純に書かれていて、踊れないワルツは芸術化されていると考えていいそうです。1829年に書かれたOp.69-2は短調でセンチメンタルなワルツですが、ワルツが短調で書かれるのは珍しいことだそうです。

 普通のワルツは都会的なものですが、ショパンはそこに民族的なものを取り入れたので、都会的な洗練されたワルツを聴き馴れた当時の人たちには新鮮に聞こえ、ショパンの魅力が伝わったようです。

 中井先生は、Op.69-1を一度途中まで弾いた後、細かく分析なさいました。この曲は8小節で一つの区切りになっていて、9小節目は1小節目の変奏、11小節目は3小節目の変奏だそうです。17小節アウフタクトからは新たな繰り返しで、32小節までがA、33小節アウフタクトから48小節までがBで、ここがマズルカ風になっているそうです。このBも8小節ずつのフレーズですが、33、35、37小節と、それに対応する繰り返しの41、43、45小節目の3拍目のリズムが変わっています。同じ音形を繰り返す時に、ちょっと変えてあることに注意が必要だそうです。49小節からは17小節からの繰り返しでAに戻りますが、49小節に“con forza”とあるのは、同じ弾き方にならないために付けられたようです。同じことが繰り返されれば繰り返される程、ヴァリエーションがないと聴く方もつまらなくなるということです。

 65小節アウフタクトからの3つ目のワルツがCの部分で、ここも8小節のフレーズが繰り返されています。その後の81小節アウフタクトからの8小節はファンファーレだそうです。そしてCのワルツが8小節繰り返され、ファンファーレが8小節あり、またCのワルツが8小節あって、113小節アウフタクトからAの後半に戻って終わります。

 ですからこのワルツは、ABCの3つのワルツで書かれているということです。

 このように中井先生は、他の4曲のワルツでも構成を分かり易く解説してくださり、演奏をしながら、弾き方の注意なども細かく指導してくださいました。

 最後に、ショパンのワルツは同じことの繰り返しが多いので、何も考えないで弾くようなことはしないで工夫をすること、やってはいけないことに注意をしながら、最大限に自由なワルツを演奏してほしい、と結ばれました。

 次回(7月10日)はマズルカです。これも楽しみです。

(K.Y.)

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