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中井正子 ピアノ公開講座 開催レポート
「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)
第1回 2015 年5月22日(金) 10:30〜12:30
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
中井正子先生による公開講座シリーズの第7弾 は、「ショパンを弾く!!」〜小品と2つの協奏曲〜(全7回)です。今回のシリーズのメインは、後半に取り上げるピアノ協奏曲第1番と第2番ですが、最初の3回で小品を勉強するということです。まず小品を知ることが大曲に繋がる道なので、ノクターンやプレリュード、ワルツ、マズルカなどの小品をきちんと勉強することが大切です、と冒頭に中井先生は仰いました。
その第1回目は、2つのノクターン Op.9-1、Op.9-2とプレリュードOp.28-15、Op.45の4曲です。《使用楽譜:「ショパン名曲選集26」第2巻(ハンナ)》
1曲目はノクターンOp.9-1。まず最初から途中まで演奏した後、この楽曲のフレーズについて説明なさいました。アウフタクトから始まる冒頭から第4小節3拍目までの4小節間を一息に、次の4拍目から第8小節3拍目までの4小節間をまた一息に、という具合に基本的に4小節単位でできているそうです。そしてその後は冒頭のほぼ繰り返しがまた4小節あり、12小節4拍目からの繰り返しは6小節になっていて、ここまでがAの部分で、19小節からがBになり、そこもやはり基本的に4小節フレーズで、70小節4拍目からAユになる、というように、細かく演奏しながら説明なさいました。
このように小節数を区切って簡単な分析をしてみると、曲の構造、繰り返しがどうなっているかがよく分かるので、頭の中できちんと分かった上で弾くことが大事だそうです。
更に旋律の形が大事で、旋律の中で音程が離れている音はエスプレッシーヴォなので何かあるとか、11連符のような割り切れない細かいパッセージは、細かく音を分けてゆっくり弾いてみるなど、練習法についてのアドヴァイスもなさいました。
2曲目のノクターンOp.9-2でも、1曲目と同じように基本的に4小節単位で作られているので、小節数で区切って見ていくと、どのように繰り返しているのかが分かります。繰り返しでは音を微妙に変えたり装飾音を付けたりしているので、対応する小節を見つけて、その違いをよく把握して弾くことが大事だということです。
3曲目と4曲目はプレリュードです。ショパンは大バッハの平均律クラヴィーア曲集を手本にしたそうです。プレリュードはそもそも何かを弾くための指慣らし的な要素があり、即興的でもあるそうです。即興的ということは、構成がしっかりしていないはずなのに、3曲目のOp.28-15「雨だれ」は、一部違うものの、やはり基本的に4小節フレーズでできているということです。
この曲では、メロディーの付点8分音符と16分音符とのリズムがいい加減にならないこと、一定のリズムを刻む8分音符が途切れてしまわないようにすることが大事とのことです。
4曲目のプレリュード Op.45は、後期の作品で音楽的には非常に難しく、ドビュッシーの世界に近い、即興演奏を楽譜化したような感じの作品だそうです。転調がたくさんあって、調性のことが分からないとこの曲はなかなかついて行けないということです。とてもきれいな曲ですが、ただ何となくきれいだと思って弾くのではなく、なぜ転調するのか、どこへ転調しているのか、こういう風に転調するから大事なんだ、ということをしっかり楽譜を読んで把握した上で、自由な発想で弾いていただきたい、と仰いました。
この日は4曲とも、演奏をしながら細かく分析、解説をなさいましたので、とても分かり易く、また演奏を楽しむこともできました。
次回(6月12日)はワルツです。是非聴講されることをお勧めします。
(K.Y.)
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