トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > 菅野 雅紀先生 ブラームス ピアノ曲連続講座 > 開催レポート

菅野 雅紀先生 ブラームス ピアノ曲連続講座 開催レポート
第4回 2015年11月27日(金) 10:30〜12:30
小品集・・・晩年のブラームス
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ

  

 本年4月よりブラームスピアノソロ全曲演奏会の連携企画として開催されてきた、菅野雅紀先生の「ブラームスピアノ曲連続講座」。その最終回が11月27日、パウゼで行われました。今回取り上げられたのは、ブラームス晩年の小品集、《8つの小品》作品76、《幻想曲集》作品116、《3つの間奏曲》作品117、《6つの小品》作品118、《4つの小品》作品119。作品118-2のように有名な曲から「隠れた名曲」まで、明晰な解説と実演で後期ブラームスの世界に迫る、充実の2時間となりました。

 講座のはじめにブラームスの小品の一覧表がスライドで提示され、全体を通じて間奏曲(インテルメッツォ)と題された曲が圧倒的に多い(全18曲)ことを確認。「間奏曲」というと何とはなしに「遅い」テンポの音楽というイメージが浮かびがちですが、これはジャンル自体の元々の特徴ではなく、むしろブラームスの小品の影響であろう、というお話がありました。ブラームスの小品の中で間奏曲の次に多いのは奇想曲(カプリッチョ)。辞書的には「気まぐれ」で「おどけた」作品などと定義されますが、ブラームスの場合はそうした性質は希薄で、むしろ形式面では幻想曲に近いジャンルであることが指摘されました。

 演奏表現上のアドバイスの内容は多岐にわたっていましたが、何度か繰り返されていたのがテンポとデュナーミクの問題です。ブラームスの小品における強弱法の特徴として、菅野先生はpoco f・molto pといったブラームス特有の指示のほか、mpやmfが少ないこと、pとppのみからなる曲が幾つもある事などを指摘されていました。とりわけ、作品76-2, 3, 4, 7や117-1、118-5のようにfがまったく出てこない作品では、弱音があまり弱々しくなってしまわないよう、音量の設定に注意が必要だとのことでした。タッチやペダリング、ポリフォニーの弾き分けなどについての高度なアドバイスは、特定の作品以外にも応用できるもので、指導や演奏の参考となさった方も多いのではないかと思います。

 講座の中での菅野先生の実演は、どんなに断片的なものであっても縦横の響きのコントロールが素晴らしく、理論面のみならず、実際のパフォーマンスとして、音楽的に大きな説得力を持っていました。12月23日に最終回を迎える前述の全曲演奏会では、本日の講座で取り上げられた作品のうち、作品76・117・119が演奏されます。こちらもぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

(N.J.)

 

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > 菅野 雅紀先生 ブラームス ピアノ曲連続講座 > 開催レポート