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ミュンヘン国立音楽大学教授
今峰由香 公開講座 開催レポート
〜ヨーロッパのレッスン風景 第4弾〜

2015年 4月3日(金) 10:30 〜 12:30
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 4月3日、コンサートサロン「パウゼ」にて、今峰由香先生の公開講座が開催されました。今峰先生は日本の大学を卒業後、ドイツでピアノ演奏の研鑽をつみ、数々の国際コンクールの入賞を経て32歳の若さでミュンヘン国立音楽大学ピアノ科教授に就任されるという輝かしい経歴をお持ちのピアニスト・教育者です。ヨーロッパと日本を行き来しながら精力的に活動を続けておられるということもあり、演奏解釈論に加え、演奏家、教育者、さらには親としてのご自身の様々な経験に基づく、幅広いお話が展開されました。

 講座の最初には、ドイツ(ヨーロッパ)と日本の教育風土の違いを中心に、現代の芸術音楽の演奏や教育をめぐる概論的なお話がありました。近年、クラシック音楽界におけるアジア系演奏家の台頭には目を見張るものがあります。実際、今峰先生のお話によれば、現在のドイツの音大では、コンサート・ピアニストを目指す専門学科はほとんどアジア勢で占められているそうです。今峰先生は、基礎訓練を怠らず言われたことをきちんとこなすという日本の学生の長所を指摘したうえで、自分自身の頭で考えオープンに表現する力を付けさせるという、ヨーロッパの教育の良さを取り入れていく必要性について、力説されていました。

 つづいては、実際の音楽作品に即して、具体的な「楽譜の読み方」や「音色の作り方」の解説が行われました。取り上げられたのは前年の講座と同様、今峰先生がお得意とされるシューベルトの作品(《楽興の時》作品94の3、《即興曲》作品90の4、作品142の1・2・4)です。楽譜を詳細に読み解きながら、アーティキュレーションや和声の繊細な感覚を実際の音として表現されるとともに、常に各部分の「キャラクター」について細かく注釈をなさっていました。何より印象に残ったのは、各作品の細部から全体像にわたる音楽的ヴィジョンの明確さと、それを説明される先生の教育者としてのことば選びの的確さです。それぞれの作品の解説の後には、今峰先生ご自身によるデモンストレーションの演奏が行われ、その知的でイマジネーション豊かな作品理解が実際の音にどのように反映されるのかを今一度反芻することが出来ました。

 会場には、いつものように、レスナーを中心とする非常に熱心な受講者の方々がお集まりくださり、講座の最後には今峰先生への質問が次々に寄せられました。

 ヨーロッパでのレッスンの様子を疑似体験させてくれるだけでなく、日本人としてヨーロッパの音楽を演奏し、教えるとはどういうことかといった深い問題をも喚起する、大変興味深い講座でした。

(N.J.)

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