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松本和将 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲 公開講座&全曲演奏会 開催レポート
シリーズ第3回
◆コンサート
2015 年4月2日(木)19:00 開演 18:30 開場 
♪ ピアノ・ソナタ 第9番、第11番、第13番、第14番「月光」、第20番

  

 満開の桜が街を彩る4月の宵、松本和将さんのピアノ・リサイタルが開催されました。ベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会の第3回となる本演奏会では、ベートーヴェン創作歴における初期から中期にかけての作品5曲が取り上げられました。作曲家が作品に仕掛けた様々な効果を存分に生かした好演で、高度なテクニックに裏打ちされた松本さんの豊かな表現に、会場は終始、魅了されました。

 1曲目の第11番(作品22)から、ほとばしる情熱を感じさせる、気持ちの入った演奏でした。力強い第1楽章と穏やかな表情の第2楽章との対比が見事に表現されていたほか、何か新しい展開を予感させる第3楽章の冒頭、軽やかで流れるような第4楽章も印象的でした。2曲目の第13番(作品27-1)では、息の長いフレーズの扱いが非常に巧みで、音楽が前へと前へと自然と流れていくよう。その音楽の流れが、全体の躍動感を生み出していました。激しい表現の箇所でも理性を失うことはなく、緊張と弛緩のバランスが綿密に考えられていました。

 休憩を挟んで、3曲目は第20番(作品49-2)。無駄な力の抜けた心地よい演奏でした。4曲目の第9番(作品14-1)では、力強さだけでなく、素朴な音色も美しく響かせておられ、特に第2楽章冒頭の旋律は秀逸でした。各声部に現れる掛け合いも巧みに歌わせているほか、第3楽章での音の伸びが本当に素晴らしく、作品の世界に引き込んでいきました。演奏が終わると「ブラボー」の歓声もあがります。そして、プログラム最後を飾ったのが第14番(作品27-2「月光」)。まず第1楽章では全体を通して鳴り響く3連符のまどろみの中で、心地よい緊張の糸が持続されます。その緊張感がふっと緩み、第2楽章へと移るのですが、その間合いが絶妙で、穏やかな解放感を生み出していました。第3楽章は、力強いタッチと繊細な表現で作り出す音色の多彩さが光る演奏で、息をのむようなその疾走感は一瞬にして会場の人々の心をつかみました。

 次回のベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会(第4回)では、第17番(作品31-2「テンペスト」)を中心とした中期ソナタのプログラムが用意されています。また、松本さんは5月にもカワイ表参道パウゼでのショパン・フェスティバルで、ショパンのエチュード全曲を演奏予定とのことですので、こちらも楽しみにしたいと思います。

(Y. T.)

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