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ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 開催レポート
〜フランス・ピアニズムから見た奏法と解釈〜 第5回 
2015年2月20日(金) 10:30〜12:30
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 シューマンを代表する作品のひとつでもある《謝肉祭》。クララと結婚する前の1833年から1835年にかけて作曲されました。20曲で構成された本作は、各曲のタイトルがフランス語で付けられており、ドイツよりもフランスで流行したそうです。シューベルトの舞曲集が原点で、多くが3/4で書かれています。

 副題に「4つの音符によるおもしろい情景」(Sc始e Mignonnes sur Quatre Notes)とあるように、第8曲と第9曲の間に置かれた〈スフィンクス〉で示された4文字、Asch(アッシュ)が鍵となります。これらを音名に置き換えたAs‐C‐H、またはA‐Es(S)‐C‐Hの音列が随所に使用されています。考えられる由来は2通り。そのうちのひとつはシューマン(Schumann)の綴りに含まれた文字であるとのことです。

 この作品にはショパンやパガニーニなど実在の人物、メダヴィッド同盟モよりフロレスタンとオイセビウスの名前などが、タイトルとして登場します。第11曲の〈キアリーナ〉はクララの名前をイタリア風に読んだもので、彼女の性格を表現したのか、厳しくやや重々しい作品です。しかし、第13曲〈エストレラ〉は、恋愛対象だったエルネスティーネ・フォン・フリッケンの名が付けられており、曲も情熱的。さらには前述の音楽文字の2つ目の由来は、エルネスティーネの出身地、アッシュ村であるともされています。シューマンは本作品をクララに見せてはいましたが、これを理由に彼女は数曲を抜き出して演奏。全曲を弾いたのは、シューマンの没後だそうです。

「正しいイントネーション、ハーモニーの運び方、バランス、解釈……。表現にはある程度の決まりがある」と中井先生はお話されています。今回においては第3回の講座で取り上げられた《パピヨン》の引用、第2回の《アベッグ変奏曲》で学んだ音楽文字も出てきて、知識や作曲手法がそれぞれの講座で完結するのではなく、初回から積み上げてきたものが繋がりました。

 来月はいよいよシリーズ最終回。シューマンの代表作、《クライスレリアーナ》が題材です。

(R.K.)

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