トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 > 開催レポート

ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 開催レポート
〜フランス・ピアニズムから見た奏法と解釈〜 第4回 
2015年1月16日(金) 10:30〜12:30
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 シューマンが3曲遺したピアノ・ソナタ。その中でも特に親しまれ、演奏される機会も多いのが、今回とりあげられた第2番のソナタではないでしょうか。

 ソナタ第1番と同時期に書き始めたものの、クララから第4楽章に対する“リクエスト”があり、書き直しています。終楽章が異様に長いことと、難易度に対して助言があったのです。作品の性格こそ同種ですが、最終的に出版された終楽章は短く、初稿よりやさしくなったものが出版されました。それでも難曲であることには変わりありません。この作品には書き直しも含め5年が費やされ、完成した翌年である1839年、ようやく出版へと至ります。

 第1楽章にはSo rasch wie m喩lich(可能なかぎり速く)、Schneller(より速く)、Noch schneller(さらに速く)、また作品の終わりにもImmer schneller und schneller(常に速く、より速く)などと記されています。第2楽章は《11の初期の歌》の第8曲〈秋に〉が調を変えて登場し、抒情的に書かれている楽曲中唯一の部分ですが、作品の大半は無窮動。表現の見通しをつけ、それに合ったテンポを見つけ出すことが大切です。

 シンコペーションの部分では、メカニックに走らず、「ジャズのような感覚で」リズムのおもしろさを表現することがポイントのようです。弾ききるだけでも大変な作品ですが、オクターヴのパッセージやカノンの部分など、若き日のシューマンらしさを楽しめる曲です。

 講座の最後、テクニックについて恩師であるマリア・クルチョのエピソードと共にお話くださいました。

「当初は私が未熟だったこともあり、先生はテクニックのことばかりおっしゃる……と思いましたが、それはとんでもないことでした。テクニックとは、音楽をどう表現するか。音の表現、音の変化。それらすべてがテクニックによって変わってきます。音楽と密接に結びついたテクニックが、ロマン派以降の作曲家の演奏には不可欠なのです。」

 シューマン講座も残すところあと2回。次回は《謝肉祭》が題材です。

(R.K.)

 ホーム(ニュース) > 公開講座シリーズ > ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 > 開催レポート