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ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 開催レポート
〜フランス・ピアニズムから見た奏法と解釈〜 第3回 
2014年12月19日(金) 10:30〜12:30
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 《アベッグ変奏曲》と同時期に作曲された《パピヨン》。この時期はピアノ曲だけではなく、ピアノとオーケストラ、また室内楽などさまざまな編成の構想がシューマンの頭の中に存在していました。

 難易度が決して高い曲ではなく、シューマン作品の中では比較的初期の段階で取り上げられる作品だと言えます。曲中にはオクターヴやその連続などが頻出するため、手がオクターヴを掴めるくらいまで成長していることが望ましいようです。

《パピヨン》は、彼が耽読したジャン・パウルの小説『わんぱく時代(なまいき盛り)』の中に出てくる仮面舞踏会のシーンからヒントを得ています。作品全体が小説に沿って作曲されたわけではありませんが、第8曲や第12曲などにおいてはその影響を感じ取れるでしょう。

 この作品は6小節の短い序奏と、12の小品で構成されている組曲です。第10曲目以降は他と比べ少し長めなものの、基本的に短めに書かれていることが特徴として挙げられます。そのためにも指定のリピートは必須であり、さらに同じフレーズが繰り返される中で作る変化の重要性をお話されていました。短い小節の中に描かれた前半と後半。音楽を作り上げるためにも、フレーズの捉え方が大切です。

 調性も1曲ごとに変化しているため、色彩も次から次へと移り変わります。核となる調はあるものの、演奏をまとめるためにはその唐突な転調の理解が必須です。

 第2曲以外は3拍子で書かれており、全体に舞曲の雰囲気を与えています。これはひとつ前の時代の作曲家、シューベルトが多く遺した舞曲集をモデルとしているからだそうです。講座当日はシューベルトのワルツD365が一例として演奏され、その影響を感じ取ることができました。

 次回はソナタ第2番が題材ですが、その次にとり上げられる《謝肉祭》では、本曲との関係が見受けられます。どの部分に《パピヨン》が出現するのか、今度の講座が楽しみです。

(R.K.)

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