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ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 開催レポート
〜フランス・ピアニズムから見た奏法と解釈〜 第2回 
2014年11月21日(金) 10:30〜12:30
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 今回はシューマンの作品内で初めて楽譜として出版された、《アベッグ変奏曲》の講座です。ピアノ教師フリードリヒ・ヴィーグに弟子入りした1980年、シューマンが20歳の時に完成させた曲です。

 変奏曲は通常オペラのアリアなどを題材としますが、舞曲を好んだシューマンは、この作品を3拍子で書きました。モシェレスの《アレクサンダーの行進》や、ショパンの《ドン・ジョヴァンニのお手をどうぞの主題による変奏曲》からの影響も受けているそうです。

 タイトルの“アベッグ”について「カップルを指す“アベック”ですか? と質問を受けることもあります」と中井先生。楽譜には「伯爵令嬢パウリーネ・フォン・アベッグに捧げる」と記されているため、特定の人物への献呈かと思わせますが、実際は作曲家が作り上げた架空の人物なのです。

 その“アベッグ”はBACH主題のように、綴りを音名に置き換えることでメロディーが浮かび上がる、“音楽文字”という手法が取られています。作品冒頭のA‐B‐E‐G‐G(ラ‐シ♭‐ミ‐ソ‐ソ)がテーマで、そこに“アベッグ”が隠れているのです。途中、テーマの逆行(G‐G‐E‐B‐A)など、随所に見られる作曲家のアイディアや仕掛けが講座内では紹介されるので、さらなる作品の魅力に気付きます。

 シューマンを勉強するには欠かせないこの1曲は、曲の難易度からも手が充分に育ってから取り組むことを推奨されていました。また、コンクールなどで聴くと“常識”が伝わっていないと感じる演奏もあるそうです。

「楽譜には逐一指示が書かれていません。私たち演奏者は、楽譜の版の比較も含め内容を深く読み、作品の背景や知識を得る必要があります。」講座を通じて、演奏の常識や伝統を身につけてはいかがでしょうか。

 来月は《アベッグ変奏曲》と同時期に作曲された、《パピヨン》をとり上げます(ウィーン原典版を使用)。

(R.K.)

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