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ピアニスト 中井正子 シューマンの世界 公開講座 開催レポート
〜フランス・ピアニズムから見た奏法と解釈〜 第1回 
2014年10月17日(金) 10:30〜12:30
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

この日に先行販売した、中井正子先生著書
『ドビュッシーピアノ 全作品演奏ハンドブック』
(アルテスパブリッシング)」

 今月から、新たに中井正子先生によるシューマンの講座が始まりました。来年3月まで続く本講座では、毎回広く知られたシューマンの作品を題材に、わかりやすい分析と演奏法、指導法の解説がなされます。

 初回は〈見知らぬ国々と人々〉や〈トロイメライ〉などの13曲から成る《こどもの情景》がとり上げられました。内声に伴奏が置かれ、両外声が対位法的に書かれた手法が特徴のこの作品。それぞれの声部でバランスを取りながら音楽をつくる、これはバッハにも通じる感覚です。

 今回は、ウィーン原典版をもとに講座が進められましたが、同じウィーン原典版でも、出版された時期で違いがあるそうです。例えば、各曲で指定されているメトロノーム記号の指示には開きが大きいこともあり、複数の曲で考慮すべきポイントとして挙げられていました。所持する楽譜の情報を鵜呑みにするのではなく、他の楽譜でも速さを比較したうえで、自分の表現がより伝わるテンポを探し出すことが大切だとアドバイスがありました。

 シューマンはペダルの指示をあまり記さなかった作曲家です。当時のピアノの響きは比較的すぐに消え、ペダルも現在ほど効果はないものでした。演奏の際はオリジナル楽器の知識を持つと、より作曲家の真意が見えてくるかもしれません。

「この作品は、各曲で異なるシューマンのピアニズムを楽しめるところが魅力」と冒頭にお話された中井先生。「コンサートでは“このピアニストのこういう演奏を聴きたい”と具体的なものを思い浮かべ、それを演奏家に求めてしまいがち。根柢に流れるものは同じでも、その日の気分を大切に、さまざまな表現を楽しんでほしい」と仰っていました。

 来月は《アベッグ変奏曲》が取り上げられます。講座ではヘンレ版を使用しますが、楽譜通りでは演奏に齟齬が生じてくる部分などをご解説くださる予定です。

(R.K.)

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