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ピアニスト 田崎悦子 大人のためのピアノ・マスタークラス 開催レポート
Joy of Music 40+ Vol.4 
第1回 2014年9月11日(木)10:00開場 10:30〜12:30  
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 ピアニスト田崎悦子先生による、ピアノを愛する大人を対象としたマスタークラス『Joy of Music 40+』。大好評につきシリーズ第4回目を迎えます。今回受講されるのは、一色久重子さん、岸川薫さん、田中慈子さんです。本日11日は、2回のレッスンのうちの1回目。約2時間にわたり非常に密度の濃いレッスンが行われました。

 最初に登場されたのは一色さんです。受講曲はショパンの《バラード第3番》。繊細で歌心に溢れる演奏を聴かせてくださいました。田崎先生は、一色さんの持つ素晴らしい音楽性を絶賛され、その持ち味を活かしつつ、譜面上の指示に従いながら音楽を表現することをお教えくださいました。sotto voce(ささやくように)などの楽語の指示はもちろん、「転調は色彩が変化するように」、「オクターヴは声楽の二重唱のように」といった事柄にも着目しながら、謎解きをするように譜面からあらゆる手掛かりを汲み取りご指導されました。また、強弱面においてはpなど弱い音を弾くときに音の存在感が薄れないよう「聴き手に対して心から語りかけるようなイメージで」とアドバイスされました。すると、一色さんの演奏は滑らかでより説得力のあるものへと変化しました。

 続いて岸川さんです。スクリャービンのソナタ第2番《幻想ソナタ》より第1楽をダイナミックに演奏してくださいました。この曲は、暗譜以外にもメロディーを際立たせることや、フレーズ感を出すことなどの難しさがあります。田崎先生は、「左右のタッチのバランス」、「crescendoの勾配を大切に」、「どのくらいで到達点にたどり着くか」の3点をメインに、メロディーを目立たせるための音響のバランスや音の形(音程の跳躍や方向性など)の解釈の仕方をきめ細やかにアドバイスされました。技巧的な曲であるが故に、技術的な面に考えが行きがちですが、「音楽的な面に意識を集中する事で、技術的に恐いと思う箇所が薄れていく」とも仰っていました。レッスンが進むにつれ、岸川さんの演奏は音色が豊かになり立体的で美しくなって行きました。

 最後に受講されたのは田中さんです。ベートーヴェンのソナタ第8番《悲愴》より第1楽章と2楽章をドラマティックに演奏してくださいました。今回は、主にテンポについてアドバイスされました。この時代の曲は、作曲家の指示がない限り、たとえ音の数や音価が変わろうとも、テーマのテンポは統一するとのことです。テンポを守りながら表情豊かな演奏をするためには、メロディーの味わいもだしつつ音楽を前に押し進めるようなイメージを持ちながら、伴奏でしっかりとテンポの土台を作り、その上でメロディーを自由に歌わせるように心がけます。また、第1楽章では、Graveの重々しい序奏からAllegroの速い部分に移るときのテンポの切り替えをスムーズに行うコツとして、Allegroへ移る手前で左手のトレモロのテンポを意識するとよいことも伝授してくださいました。田中さんの演奏は、最初のときよりも安定し、かつ奥深さが増して行きました。

 先生の的確なアドバイスで受講生の方々の演奏が一瞬にして変化する魔法のようなレッスンでした。次回は、9月25日(木)に開催されます。今から非常に楽しみです。 

(K.S)

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