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ピアニスト 中井正子の「ショパンの大曲を弾く!」公開講座 開催レポート
第1回
 2014年5月16日(金)10:30 〜 12:30  
幻想曲Op.49  幻想ポロネーズOp.61
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 ショパンのピアノ作品の大作である幻想曲やソナタ。試験やコンクールでも必ず取り上げられ、一般的にも人気の高いこれらの作品をどのように聴き、理解し、演奏するのか。そのような疑問にピアニスト中井正子先生が直接応えて下さる連続公開講座『ショパンの大曲を弾く!!』がパウゼにて開催されました。

 第一回の今回において採り上げられるのは幻想曲ヘ短調Op.49と幻想ポロネーズ変イ長調Op.61です。スコアの細部に至るきめ細やかな講座をすべてに渡ってご紹介することは到底できませんが、とりわけ筆者にとって感銘を受けた点に絞ってそのエッセンスの一部を以下に記してみたいと思います。

1) 作品の全体的な様式感を掴むこと。中井先生によれば、まず今回取り上げられた二つの大作はいずれも「幻想曲(Fantasy)」であり、それは所謂「幻想ポロネーズ」においても同様であるということでした。たとえば、後者において確かにポロネーズのフレーズやリズムは引用されますが、それはあくまで「幻想曲」という即興的で自由な様式感の中で扱われるのであって、この曲は決して「ポロネーズ」なのではないということでした。

2) 調性感の移り変わりのなかで、作品の構成やドラマ性の意味を掴むこと。中井先生の講座でとりわけ印象的なのは、基本となる調と転調の展開の中から、具体的なアーティキュレーションや運指、訓練のあり方までが大変説得的に解説されていたことです。この点は今回のような即興的な大作を魅力的な断片の集合体としてではなく、その中に一貫した必然的な響きを発見するためにも大変重要なポイントであると感じました。

3) 個々のフレーズの具体的なイメージを思い描くこと。たとえば、中井先生は講座の中で幻想曲の冒頭のユニゾンの下降音型を「戦いに疲れ果てた兵隊の行進」といった光景を引き合いに出されるなど、単に純音楽的にハーモニーや構成だけを考えるのではなく、具体的なイマジネーションを通して自ずから豊かなフレージングを行うことの重要性を示してくださいました。

 スコアの細部に至る丁寧な解説と中井先生の磨き抜かれたピアニズムによって「曲作りの妙」が豊かに演出された素晴らしい講座。「このようにしてショパンの大作を紐解き、理解し、自分のものとして行くのか」ということが実地に知ることができるまたとない機会です。次回は6月27日金曜日、ピアノソナタ第2番変ロ短調Op.35が採り上げられます。どうぞお聴き逃しなく。

(G.T.)

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