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パスカル・ドゥヴァイヨン教授 公開講座 開催レポート
『ショパン・エチュード 全24曲徹底解説!!』
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ

第4回 2015年1月23日(金)10:00 開場 10:30 開講
     エチュード 作品25より 第7番〜第12番

  

 昨年3月より開催されているパスカル・ドゥヴァイヨン先生のショパン・エチュード講座も、本日がいよいよ最終回。今回は作品25より第7番から第12番の6曲が取り上げられました。本講座ではおなじみの「コンタクト」や「軸」といった概念を用いながら、音楽表現と一体の関係にあるテクニックの諸問題が詳細に解説され、密度の濃い時間が繰り広げられました。

 今回とりわけ印象に残ったのは、音や響きの作り方そのものに関わるテクニックです。エチュードというとつい、速くアクロバティックな指の動きをつい思い浮かべてしまいがちですが、ショパンにとっての「テクニック」はそれだけではない、とドゥヴァイヨン先生はおっしゃいます。たとえば最初に取り上げられた、エチュード作品25−7。左手の音を「語らせ」、美しいレガートを生み出すにはどんなイメージで打鍵すればよいか、右手のポリフォニーを良いバランスで演奏するにはどんな練習が必要かといったことを、ドゥヴァイヨン先生は非常に具体的なレヴェルで、きめ細やかにご説明くださいました。

 有名な「木枯らし」のエチュード(作品25−11)では、無造作に扱われがちな最初の4小節の弾き方に注意を喚起されました。初めの2小節はソロ、続く2小節は合唱をイメージして演奏するとよいとのことで、出だしは弱音ペダルを踏んで大きめの音で弾くというやり方もある、と提案されていました。

 作品25−12では、作品の大きな構造やハーモニーを踏まえた効果的な強弱法についてのお話がありました。第31小節以降の長いスパンでの「階段状のクレッシェンド」は、他の様々な作品の演奏でも応用がききそうです。全体を貫く「波のような」アルペジオは1や5の指で弾かれる両端の音にアクセントをつけすぎることなく、むしろ、手の安定につながる間の2や3の指を意識して演奏するとよい、とのことでした。

 音楽的にも技術的にも非常に高度な内容を、ユーモアも交えつつ、美しい音楽と明晰な言葉で真摯にお伝えくださったドゥヴァイヨン先生。講座の内容や普段のレッスンでのお悩みなどについて、フロアからも様々な質問が寄せられましたが、先生はどんな問いにも一つ一つ丁寧にお答えになっていました。ドゥヴァイヨン先生の教えを自家薬籠中のものとされている村田理夏子先生の通訳も、いつもながら本当にわかりやすく、素晴らしいものでした。

 9月からはドゥヴァイヨン先生の新シリーズ『ピアノと仲良くなれるテクニック講座』(全3回)が始まります。こちらもどうぞお楽しみに!

(N.J.)

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