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パスカル・ドゥヴァイヨン教授 公開講座 開催レポート
『ショパン・エチュード 全24曲徹底解説!!』
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
第2回 2014年5月20日(火)10:00 開場 10:30 開講
     エチュード 作品10より 第7番〜第12番

  

 本日は、世界各地でピアニスト/ピアノの指導者としてご活躍のドゥヴァイヨン先生による、2回目のショパン・エチュード講座が開催されました。対象となったのは作品10-7から12の6曲。その中には、しばしば音楽系大学の試験やコンクールの課題に登場する楽曲も入っており、「この曲を美しく弾きこなしたい!」という方も多いのではと思います。

 講座では1曲1曲について、ドゥヴァイヨン先生による丁寧な解説と練習方法の紹介が行われましたが、全体として先生が強調されたのは、「はじめに指ありき」ということでした。もちろんショパンのエチュードを演奏するためには、手首や腕、肘といった身体のあらゆる箇所について工夫が要るのですが、それらはあくまで指に従事するものであり、指を最適な状況で動かすためのものでなければなりません。一番大事なのは、指自体がきちんと動いている状態にあり、また指が打鍵した後にちゃんと緩められる状態にあることです。ドゥヴァイヨン先生は、私達の指が生まれつき各々違う長さを持っているなど、手が元来持っている性質をどう演奏においてカバーしたり、あるいは活かしたりするかを丁寧に説明してゆきました。こうしたことは、かつてショパン自身も考えていたらしく、史料からはショパンが「音階は長い指が黒鍵にくるロ長調から練習するように」と指示していたことなども、わかってきているそうです。

 また、講座の中でキーワードとなったのが「軸」という言葉。今回採り上げられた6曲では、左右に振れるような音型がよく現れるのですが、そうした音型をスムーズに演奏するためには、手と音の軸を考えることが重要です。大きな音のまとまりのうち、どの音を動きの中心に据えて、その音にどの指を配置すればよいかをよく考えることで、より効率のよい手の通り道を見つけることができるのです。

 そして重要なのは、指を速く正確に動かすことだけではありません。ショパンの楽曲の魅力は旋律の美しさにありますので、テクニック的な難しさに気を取られて美しい旋律を台無しにしてしまっては、よい演奏はできません。先生は、特に作品10-8や10-9といったメロディックな曲については、旋律パートでのスラーや休符の扱い方を丁寧に説明し、音楽的な演奏のためのアドヴァイスを熱心になさっていました。

 ドゥヴァイヨン先生の次回の講座は若干時期をおいて9月、対象の曲は同じくショパンの練習曲のうち作品25の前半になります。今後も先生の編み出した数々の練習法や楽曲解釈を聴けるのが、大変楽しみです。

(A. T.)

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