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ピアニスト 田崎悦子 大人のためのピアノ・マスタークラス 開催レポート
Joy of Music 40+ Vol.3 
第2回 2014年2月28日(金)10:00開場 10:30〜12:30  
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

   

  

 本日は、ピアニストとして国内外でご活躍の上、国内で後進の指導も熱心に行っていらっしゃいます田崎悦子先生が、音楽を生涯の友としてピアノの練習に励む方を対象に、公開レッスンを開催されました。田崎先生の公開レッスンは2回セットで行われることが特徴的。受講生は田崎先生に教わって練習したことの成果を先生ご自身の口から聴くことが出来ますし、聴講する側も田崎先生に教わる前と後の受講生の変化を目の当たりに出来ます。こうした形態は、田崎先生の「受講生にも聴講生にも役立つレッスンを」という趣旨に基づいています。本日はその「2回目」にあたるレッスンで、田崎先生のご指導の結果を見ようと、前回に続けて聴講された方が多々いらっしゃいました。

 お一人目の受講生は黒澤隆さんで、ショパンの《舟歌》を練習して来られました。まず会場からは、黒澤さんの音色が前回よりもはるかに明瞭になったことに対して、賞賛の声があがりました。どうしても手を動かしづらい和音や細かい装飾音に入ると萎縮してしまうという黒澤さんに対して、田崎先生は車の運転を例に楽曲との向き合い方をお話されました。車の運転はかなり細かいことにまで神経が必要ですが、だからと言ってバンパーだけを眺めていても目的地には辿り着くことが出来ません。数十メートル、数百メートル先の道順や周りの景色を見渡せてこそ初めて、スムーズに運転を進めることが出来ます。ピアノも同様で、各フレーズの行き着く先、そして楽曲全体の方向性を見据えることで、細かい箇所への心配が先行してしまうことなく、表現力の高い演奏をすることが出来ます。

 お二人目の受講生は手塚雪江さん。高度なテクニックが求められるラフマニノフ《楽興の時》第1番・第4番に、しかも暗譜での演奏に挑戦されました。人前で緊張したときにも楽曲に対する強いイメージを持って弾きたいという手塚さんに、田崎先生はこれもまた大変興味深い説明で、いかに冒頭の音から音楽的に演奏するかを伝えていらっしゃいました。左手に現れる伴奏は、楽曲全体を1つのステージに例えるなら舞台装置のようなもの。《楽興の時》の第1番は先に伴奏だけが2小節間流れますが、ここでいかに登場人物である旋律を、物語の装置に誘い込むかが、表情豊かな演奏のための鍵なのです。他にも先生は、大きく長い音は発した後の余韻もよく聴くこと、弱い音をいかに美しく抑えて弾くかが演奏にメリハリをつけることなど、私達がつい見失いがちなピアノ演奏の留意事項を丁寧に教えていらっしゃいました。

 今回のレッスンを聴いていると、受講生のお2人の演奏がみるみるよくなってゆく過程がわかり、まさにこれこそが「ピアノを弾く歓び」だと感じました。大変有意義な2時間のレッスンでした。

(A. T. )

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