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久元祐子 ピアノ演奏法講座 開催レポート
『一歩上を目指すピアノ演奏法vol.5』(全5回シリーズ)
第1回
2014年1月17日(金) 10:30〜12:30
♪「モーツァルトとヴァルター・ピアノ」
 参考書:学研「モーツァルトとヴァルター・ピアノ」
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 本日は、ピアニストとしてもピアノの指導者としてもご活躍の久元祐子先生が、ご自身の著書「モーツァルトとヴァルター・ピアノ」をもとに、モーツァルトの演奏法についての講座を開催されました。タイトルにありますヴァルター・ピアノとは、モーツァルトがウィーンに住んで以来使用していたと言われるピアノであり、現在私達がよく知るピアノとは音色やタッチにずいぶん違いがあります。今回の久元先生の講座は、作曲家が使用した楽器という観点から、モーツァルトの特にウィーン滞在期の作品をどのように演奏するかという趣旨のものでした。

 講座はモーツァルトの作品の中でも特に演奏される機会の多い変ロ長調とハ長調のピアノ・ソナタ、そしてモーツァルト独特の音楽創りが随所に現れるイ短調のロンドを中心に行われました。先生が講座全体を通じてキーワードとされていたのが「指にかける重さ」でした。まず、モーツァルトが作曲する際に思い浮かべていたと思われる軽やかな音色を、現代のピアノで表現するにあたっては、鍵盤を完全に下まで降ろしてしまおうとするのではなく、半分くらい降ろすつもりで演奏する必要があります。また、鍵盤を降ろすこと以上に、音を鳴らし終わって鍵盤から指を上げることに意識を向けることで、より透き通った音色を目指すことが出来ます。次に、モーツァルトが描いた繊細な旋律を演奏するには、どの音にどのくらい重さをのせるのかをよく考える必要があります。特に「ため息のモティーフ」と呼ばれる隣同士の音が2つ繋がった音型は、モーツァルトの作品に頻繁に現れますが、1つ目の音に重さをのせることで初めてため息のような表情のついた音型に仕上がります。「重さ」への意識は左手の伴奏にも重要です。モーツァルトの鍵盤作品の多くは分散和音が用いられていますが、ベースのラインが美しく明快であることで、音楽の流れがぐっとよくなります。そのためには、ベースの音を奏でる左手小指に適度な重さをのせるフィンガー・ペダルという奏法が重要になってきます。

 さらに久元先生のお話は、ピアノ奏法そのものだけでなく、モーツァルト作品構成の特徴にも及びました。ピアノ・ソナタでは調性の巧みな移り変わりが重要です。特に展開部から提示部に戻る際の迷いから解決に至る道のりは、大変美しいものであり、またその美しさを奏者が最大限に引き出す必要があります。ロンドでは全く同じようでいて微細に変わってゆく旋律が作品の鍵となっています。完全な繰り返しになることなく、しかしながらよく似た旋律が返ってくる様相を、奏者がその都度に解釈して表現することが大切です。

 久元先生は最後に「ある作品を仕上げるためには、ピアノという楽器で色々な音を実験してみることが必要です」と仰っていました。本日の講座を経てさっそくその「実験」を開始される方は多いのではないでしょうか。ピアノを習得する方々にとって大変有意義な講座となりました。

(A. T.)

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