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ピアニスト 中井正子 の ショパン講座 開催レポート
「バラード・即興曲 全8曲」
公開講座 & CD発売記念コンサート(全5 回シリーズ)
2013年5月10日(金) 〜11月29日(金)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第5 回 2013 年11 月29 日(金)19:00 開演
中井正子 「ショパン:バラード&即興曲」 CD発売記念コンサート
♪即興曲&バラード 全8曲
11月29日パウゼにて、ピアニスト中井正子先生によるショパン講座の締めくくり及びCD発売を記念して、ショパンの即興曲とバラード全曲演奏会が開催されました。全4回にわたり行われた講座では、即興曲とバラードの解釈の仕方や練習方法を演奏家の視点から丁寧に解説してくださいました。それらの事柄が余すところなく反映された素晴らしい演奏に「なるほど!」と思いながら、大変興味深く拝聴させていただきました。前半は即興曲です。講座でも述べられていたように、タッチやペダルを細かくコントロールされ、楽曲の隅々まで考え抜かれた奥深い演奏を聴かせてくださいました。一音一音の持つ役割を的確に捉えながら、音程関係や和声の微細な変化や、旋律の繰り返しごとの表情の豊かさ、各曲の調性の性格などを巧みに表現されておりました。まるで言葉を紡ぎ出していくような、自由で伸びやかな演奏に思わず引き込まれてしまいました。
休憩を挟み、後半はバラードです。前半の即興曲と同じく細やかな演奏を展開され、各曲の作曲の意図が手に取るように感じられました。筆者の印象に残ったのは、4曲ともにクライマックスへ向かう方向性が明確に表現されていたことと、響きのコントロールが隅々にまで行き届き、曲全体の陰影や立体感を出していたことです。先生の丁寧な演奏を通して、音による伝記を読みながらショパンの生涯をたどっているような気持になりました。
鳴りやまない拍手に応えられ、アンコールは≪別れのワルツ≫、≪革命エチュード≫、≪小犬のワルツ≫の3曲を披露してくださり、素晴らしい演奏会となりました。
講座と演奏会がセットとなった今回の企画を通して、ショパンの音楽の魅力はもちろんのこと、ピアニストが譜面の限られた情報の中から作曲家の意図を読み取り、音で再現するまでのプロセスを学べ、演奏を聴く際の新たな楽しみ方を発見できたように思います。中井先生ありがとうございました。
(K.S)
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