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ピアニスト 中井正子 の ショパン講座 開催レポート
「バラード・即興曲 全8曲」
公開講座 & CD発売記念コンサート(全5 回シリーズ)
2013年5月10日(金) 〜11月29日(金)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第4回 2013 年10 月18 日(金)10:30 〜 12:30   
♪幻想即興曲 嬰ハ短調(遺作)、バラード 第4番 ヘ短調 作品52

  

 ここパウゼではお馴染みのイベントとなっております、ピアニスト中井正子先生による公開講座シリーズ。ショパンの即興曲/バラードのシリーズ最終回となります本日は、幻想即興曲/バラード第4番がテーマです。ピアノに携わる方々であれば、誰もが一度は憧れるレパートリーです。

 幻想即興曲は遺作として世に出たため、曲順こそショパンの即興曲の中でも最後に配置されていますが、実際に創作された時期はショパンの他の即興曲よりも早くなります。よって、ショパンの作品で頻繁に現れます音が次々跳んでゆくようなメロディーは少なく、その点で技術的には他の即興曲よりも易しいかもしれません。しかしながら、この作品を弾きこなすにはやはり、ひと拍ずつの和音の変化や一音ずつの音程関係をよく感じ取り、それらを自分の指で表現できるまで練習する必要があります。また、旋律の反復が特徴的なショパンの場合、繰り返しをどのように音楽表現に活かすか、という課題があります。中井先生は、全く同じ旋律も1回目はたっぷりと・2回目はひっそりと、といったように工夫していらっしゃいました。この講座は先生が実際に演奏している様子が、鍵盤をクローズアップしたビデオ映像と共に見られることも大きな醍醐味ですが、先生の幻想即興曲はまさに先生ご自身が講座でご説明された通り、音楽の各々の瞬間を大切にした大変表情豊かなものでした。

 後半のバラード第4番は、ショパンの中でもとりわけ技術的な難易度も高い楽曲です。先の幻想即興曲で述べたような表現の工夫に加え、ここで先生がキーワードとされたのが「音を野放しにしない」ということでした。このバラード第4番では、しばしば音楽が盛り上がった際に、素早く駆け下りるパッセージや音が何重にも重なったパッセージが現れます。そこで例えば勢い任せに演奏してしまったり、全部の音を力任せに出してしまったりすると、美しい音楽にはなりません。そのようなパッセージの時にこそ拍感を意識し、和音のバランスに留意することで、立体的で美しい音楽が仕上がります。

 今回は特にテーマとなった楽曲が大曲だったため、講座の時間はあっという間に過ぎてしまいました。毎回大変勉強になる中井先生の講座、最終回は、11月29日に即興曲・バラードの全曲演奏会が予定されています。大変楽しみです。

(A. T.)

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