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ピアニスト 中井正子 の ショパン講座 開催レポート
「バラード・即興曲 全8曲」
公開講座 & CD発売記念コンサート(全5 回シリーズ)
2013年5月10日(金) 〜11月29日(金)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第3回 2013 年 9 月13 日(金)10:30 〜 12:30   
♪即興曲 第3番 変ト長調 作品51、バラード 第3番 変イ長調 作品47

 

 

 本日はここパウゼではお馴染みの中井正子先生に、ショパンの即興曲とバラードについてレクチャーしていただきました。シリーズ第3回目となる本日は、即興曲の第3番とバラード第3番がテーマ。どちらも各々即興曲、バラードの中でも特に、ショパンの繊細な音への想いをうかがうことの出来る作品です。

 即興曲第3番は、第1番と非常によく似ていて、流れるような音型と移ろいゆく響きの色彩感が特徴的です。しかしながら、この楽曲を弾きこなすには、一見まさに「即興的」に聴こえる音楽の形式や構造をよく分析・理解する必要があります。例えば、全体構造がA-B-Aユの三部形式になっていることを意識して、表現のコントラストをつけたり、音が幾恵にも重なっているところは各声部を聴き分けて立体的に音楽創りをしたりすることで、演奏の仕上がりがぐっと美しいものとなります。

 バラード第3番は、即興曲に比べてさらに技術的に困難な部分も多く、弾きこなすには地道なトレーニングが必要となってきます。全体にふんわりとした印象の強い楽曲ですが、各々の瞬間のハーモニーをよく考えてペダルを踏む、中盤以降の音型が複雑な部分は一度和声構造を見直したり声部ごとに分解したりして練習する、といった作業をしなければなりません。中井先生は様々な練習方法を紹介しながら、この難しくも美しい楽曲がどうやったらより素敵に演奏できるかを、熱心に解説されました。

 中井先生は毎度のレクチャーで、楽曲の表情創りに際して音程を大切にすること、右手の旋律が目立つところでは左手の支えも大切にすること、ペダルは熟慮のうえで使用することなどを強調されていますが、特に今回強調されたのは、繰り返しの意義でした。即興曲やバラードでは、非常に印象的な旋律の繰り返しが目立ちます。よって何度も反復される旋律を「ただの繰り返し」にしてしまうのではなく、1回1回の旋律の意味を解釈し、音楽創りに反映させる必要があります。こうして反復される旋律のニュアンスを変えてゆくことで、楽曲が非常に表情豊かなものになり、ショパンの作品の色彩感が活きることとなります。

 中井先生のレクチャーを聴きますと、帰宅したらさっそくもう一度楽譜を開いて練習してみようという気持ちになります。次回は幻想即興曲およびバラード4番のレクチャーが予定されていますが、こちらも拝聴するのを今から大変楽しみにしております。

(A.T.)

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