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ピアニスト 中井正子 の ショパン講座 開催レポート
「バラード・即興曲 全8曲」
公開講座 & CD発売記念コンサート(全5 回シリーズ)
2013年5月10日(金) 〜11月29日(金)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第2回 2013 年 6 月 7 日(金)10:30 〜 12:30 
♪即興曲 第2番 嬰ヘ長調 作品36、バラード 第2番 ヘ長調 作品38

  

 今朝のパウゼではピアニスト中井正子先生をお迎えしてショパンの即興曲とバラードの公開講座が開催されました。全四回の公開講座と中井先生のCD発売記念コンサートによって構成されている企画で、今回は第二回。即興曲とバラードの第二番がそれぞれ採り上げられました。会場の白熱した雰囲気と充実したレクチャーのすべてをレポートさせて頂くことができないのが残念ですが、以下は中井先生のお話の大まかな要点となります。

 まず、即興曲の第二番ですが中井先生が強調されていたのはこの作品の解釈とテクニック両面の「難しさ」です。とりわけ解釈面では嬰ヘ長調というこの作品の「調性感」をどのように具体的な解釈に結び付けるのか、ということが一つのポイントとなっていました。

 中井先生によるとこの作品が異名同音の変ト長調ではなく敢えて嬰ヘ長調で書かれている根本的な理由は、作品の基本的な楽想が牧歌的な性格を持つ所謂パストラーレであることに由来します。この楽想は中間部におけるニ長調の輝かしいマーチの後、ヘ長調というパストラーレ本来の調へと一度落ち着き、再び嬰ヘ長調へと向かって終結します。この趣向が凝らされた一風変わった展開の音楽的な意味について、中井先生は自らのピアノ演奏で的確に示しながらきめ細かくお教えくださいました。

 後半で採り上げられたバラード二番においてもとりわけ興味深かったのはこの作品の非常に特殊なドラマ性の中井先生ならではの解釈でした。この作品はヘ長調の牧歌的な主題と突如荒れ狂う嵐のようなイ短調の第二主題の交錯によって進行し、曲は主調に回帰することなく、最後は第1主題がイ短調で回想され静かに閉じられます。中井先生の解説は、作曲当時ショパンが過ごしていたマジョルカ島での精神風景に思いを馳せつつ、一つ一つの楽想の背景にある意味や展開を詳らかにする機知に富んだものでした。

 今回の講座を通して筆者がとりわけ印象深かったのは、中井先生が私たちが作品をより深く理解するための様々なヒントを楽曲解釈とテクニックの両面からご教示くださったことです。基本的な楽想の理解及び調性感、そして前後の意味の連関に関する裏打ちのある解釈に基づきながら、要求されているテクニックを如何に効率的に習得するのかという知恵がここかしこにちりばめられていました。次回はいよいよ「第三番」。筆者もまた楽しみに出かけたいと思います。

(G.T.)

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