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カワイコンサート NO.2363
ヨナス・アウミラー ピアノリサイタル 開催レポート
2025年11月11日(火)18:30〜(開場 18:00)
会場:
宮城野区文化センターパトナホール

 

2025年11月11日(火)、駆け足で秋が過ぎようと冷たい風の吹く宵、宮城野区文化センターパトナホールにて2363回カワイコンサート「ヨナス・アウミラーピアノリサイタル」が開催されました。

2022年第8回仙台国際音楽コンクールや2024年第12回浜松国際ピアノコンクールなどで輝かしい実績を収め、今秋行われた第19回ショパン国際ピアノコンクールのコンテスタントでもあったヨナス・アウミラーさんの演奏を心待ちにする人々で開場の1時間以上前から列ができていました。

ホールに入るとステージのSK-EXはスポットライトの美しい光を纏って、はじめの音が奏でられるその刻を静かに待っていました。

いよいよ開演となり、拍手の中、ヨナス・アウミラーさんは微笑みを湛えてステージに現れました。これからどんな音色が奏でられるのかと期待に胸が高鳴ります。

プログラムはオール・ショパン・プログラム。

前半1曲目はプレリュード嬰ハ短調 Op.45です。夜の幕開けに相応しい美しく優しい繊細な音色、そして秋の夜の静寂を思わせるたっぷりとした詩的なメロディーに引き込まれてしまいました。

続いて2曲目の舟唄嬰ヘ長調 Op.60は、左手のたゆたう優しい揺れにのせて、甘やかで叙情的なメロディーが美しく奏でられ、時折翳りを見せながらも始終柔らかな表情で音楽が進んでいきました。クライマックスは喜びに満ち溢れた明瞭な音色がホール中に響き渡りました。

前半最後の曲はピアノ・ソナタ第2番「葬送」変ロ短調 Op.35です。

先ほどの幸福感溢れる音色から一転して暗く荒々しい切迫感のあるはじまりに会場の空気が引き締まるのを感じました。ヨナス・アウミラーさんの多様な表現力に寄り添って、SK-EXのダイナミックレンジを堪能できる素晴らしい演奏でした。第3楽章の中間部に至ってはまるで天上の音楽のような美しい響きに胸がいっぱいになりました。

休憩の後、後半1曲目は幻想曲ヘ短調 Op.49から始まりました。楽想の変化が頻繁に行われ、ここでもヨナス・アウミラーさんの卓越した確かな技術と豊かな表現力は揺るぎなく、ダイナミックさと繊細さとの対比が見事でこの作品の魅力を余すことなく伝えていました。

続くマズルカ Op.56、そして間を空けずにワルツ第3番イ短調 Op.34-2へ。

マズルカは明るい楽しさの中に軽妙な表情もあり、軽やかな語り口に誘われて思わず踊り出したくなるようでした。ワルツはしなやかで美しく、けれどもの悲しさを湛えたメロディーの明と暗それぞれに聴き入ってしまいました。

一瞬の間の後、最後の曲スケルツォ第3番嬰ハ短調 Op.39が始まりました。

激しく情熱的な表情でも決して感情的にはならないヨナス・アウミラーさんの指先からはSK-EXの多彩な音色が存分に引き出され、会場いっぱいに満たされていました。そして今回のどの曲でもアウミラーさんの紡ぐ弱音は何処までも美しく、心に染み渡るものでした。

演奏後、割れんばかりの拍手の中、アンコールはプレリュード Op.28-15「雨だれ」。緊張から解かれ、優しく語りかける美しい旋律に包み込まれました。更にアンコールに応えて下さり、ワルツ第1番変ホ長調 Op.18「華麗なる大円舞曲」で会場の空気はまるで舞踏会のように華やぎました。

会場を後にするお客様の表情は幸せそうで満足感に溢れているように見えました。ヨナス・アウミラーさん、素晴らしく素敵なひとときをありがとうございました。

(仙台中央事務所 講師 坂上 望)

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