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カワイコンサート NO.2352
ネルソン・ゲルナー ピアノリサイタル 開催レポート
アルゲリッチにその才能を見出され、ショパン国際ピアノコンクール(2021年)審査員も務めるなど活躍中のピアニスト
--- ネルソン・ゲルナー初のSHIGERU KAWAIでのピアノリサイタル!
2024年12月3日(火)19:00〜(開場 18:30)
会場:
浜離宮朝日ホール (東京都)

年の瀬を感じ、色とりどりの街の灯りを浴びてすっかり暗くなった空とのコントラストが映える紅葉が舞い散る中、12/3 浜離宮朝日ホールにて‘ネルソン・ゲルナー氏’のコンサートが開催されました。

ロマン派を代表する作曲家の‘美術館を巡るような多彩な作品’が集められたプログラムを楽しみに、開場のかなり前から多くのお客様がお待ちになっていました。

ショパンが聴衆の前で演奏した最後の曲の1つとも言われている【舟歌】で幕開けしました。曇りのない響きの低音がメロディーを引き立て、粒立ったトリルはホールの天井までまっすぐに届いているかのようでした。そしてクライマックスでのダイナミックな‘揺れ’は水しぶきを起こして輝いている情景を思わせ「万感の思い」に溢れた演奏でした。

【幻想ポロネーズ】生涯で最も充実していた時期のショパンの心情と雄大な構想に満ちた作品です。オクターブ連続の情熱的な旋律、左右の乖離跳躍など演奏技巧の集大成を自在に操り、立体的な奥行きを感じる壮大な演奏でした。

【謝肉祭】はシューマンの詩的情緒にあふれた代表作の1つです。20の標題にはシューマン独自のミニアチュールで、「前口上」は輝かしいファンファーレに始まり「ピエロ」は明暗の表情を巧みに表現していました。

「オイゼビウス」は7連音符のメロディーが瞑想的な心情を歌っているようでした。

「踊る文字」はシューマンの名前の4文字からの構想で書かれていて、演奏の手の動きもまるで音にあわせた‘スケルツォ風な踊り’を連想しました。

「再会」は楽しいおしゃべりの息づかいを感じる演奏で心地よく引き込まれ、「パンタロンとコロンビーヌ」の低音部の演奏は曲の性格を表しているようで、心の機微に触れた演奏でした。

終曲では“3拍子の行進”が独特の鮮麗さを醸し出し、わくわくするほどの圧倒的な重厚感で埋め尽くされた演奏が終わると同時に拍手が起こり、聴き応え満載で前半を終えました。

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後半『フランツ・リスト国際コンクール第1位』受賞された氏による、リスト【忘れられたワルツ 第2番】では、シンコペーションのおどけたような表現にどんどん引き込まれる楽しさを体現しました。

【軽やかさ】は幻想的拍子感に気品高い音色で煌めきを帯びていました。

美術館巡りの最後はショパン【ピアノ・ソナタ第3番】でした。成熟した深い翳りのあるメロディーから一気に上昇して視界がパッと開けるような高揚感、陶酔した幸福感、最終楽章では全鍵盤を反響させたスケール感豊かな表現で貫録のある輝きに包まれた演奏でした。

アンコール1曲目  ラフマニノフ【ひなぎく Op38-3】

「6つの歌曲」の1つ、作曲家自身による編曲で歌のメロディーを主に内声が奏でる抒情的な作品です。お客さまの拍手に応えるように優しく穏やかな音色でした。

アンコール2曲目  シューマン 【トッカータOp.7】

お客さまとの再会を願い、また別れを惜しむようなフィナーレに相応しい躍動感あふれる演奏で締めくくられました。

終始、華麗な説得力のある圧巻の演奏、そして充実した豊かな響きに包まれてお客様が温かな気持ちで家路につかれたことと感じました。

東京支店 指導担当 小林好美

 

 

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