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カワイコンサート NO.2347
迫 昭嘉 ピアノリサイタル 開催レポート
2024年7月9日(火)19:00〜(開場 18:30)
会場:
宮城野区文化センターパトナホール

2024年7月9日(火)宮城野区文化センター パトナホールにて、2347回 カワイコンサート迫 昭嘉 ピアノリサイタルが開催されました。
迫氏の美しい音色がSK-EXを、どのように響かせて演奏なさるのか、期待一杯で会場に向かいました。

前半1曲目は、グリーグの組曲「ホルベアの時代より」Op.40
1.前奏曲 淀みのないリズミカルな動きの中に、豊かに湧きあがる、優しい彩りが心地よかったです。
2.サラバンド 穏やかな表現で、けして、自己主張を誇示していないのに、芯のあるメロディを響かせ、曲の骨子が分かる素晴らしいテクニックに感激しました。
3.ガヴォットとミュゼット 男性的なしっかりした、且つ軽快なステップのガヴォットと、女性的で、どことなくシャイなミュゼットの2面性が面白かったです。
4.アリア ほの暗さを湛え、憂いのある語り口で、詩を朗読しているような心の琴線に触れる、感動的な演奏でした。
5.リゴードン バロック的な厳格な演奏の中に、最終曲にふさわしく、華麗さとスピード感があり、長調→短調→長調の変化の美しさに、思わず息を飲みました。
2曲目はドビュッシーの版画
1.塔 アジア的なエキゾチックな響きで始まりましたが、けして、それに傾倒しすぎず、西洋との融合を意識したかのような、バランスのよい素晴らしい演奏でした。
2.グラナダの夕暮れ スペイン情趣あかれるハバネラのリズムに乗せて、哀愁のあるメロディが奏でられました。かつて訪れた古都グラナダの、オレンジ色から鈍色にかわる夕べのグラデーションを彷彿とさせられ、感動的な空間に身を置き、幸せな一時でした。
3.雨の庭 技巧的な面が前に出やすい曲ですが、そうはならず、雨の音、情景等、微に入り細に入り、曲を研究されているのが、伝わる演奏でした。長調、短調、全音、半音の交錯をさりげなく行い、そして、立体的な造りにもっていく、最高の演奏でした。

 

休憩の後、後半はショパンの曲を2曲。
1曲目は、舟歌嬰へ長調 Op.60 メロディの叙情的な美しさはもちろんですが、左手の伴奏の美しさに心を奪われました。和声の変化に合わせ、刻々と表情を変える左手。優美な面の影にひそむ切なさが伝わる、心にせまる演奏でした。
2曲目は、ピアノソナタ第3番ロ短調 Op.58 これほどまでに、気品あふれる、神々しい演奏を聴いたことはありません。
1楽章 アレグロ・マエストーソ 第1主題から、説得力のある凜としたもので、思わず襟を正してしまうような演奏でした。中間部は、包容力と優しさに満ちあふれたものでした。
2楽章 スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ 俊敏で軽快な部分も、常にコントロールされ、音の粒のまろやかさには感嘆させられました。中間部の静の部分は、"静"の中に独特の動きが感じられ非常に魅力的なものでした。
3楽章 ラルゴ 甘美なメロディと、左手内声の順次進行の調和があまりにも美しく、沢山の色彩を聴かせて観せて下さり、会場は幸せな色でいっぱいになってました。
4楽章 フィナーレ:プレスト・ノン・タント 締めくくりらしく、情熱的で、思いがほとばしる演奏でした。この楽章もやはり、凜とした、一本芯のある表現をされていましたが、けして押しつけがましくなく、迫氏の人柄が滲み出た、素晴らしいものでした。

アンコール1曲目は、グラナドスの組曲「ゴイエスカス」より 嘆きまたはマハと夜鳴きうぐいす甘く、切なく、時にはダイナミックに、心が震えるような装飾音、全てが美しすぎて時が止まったかのようでした。一転して、最後は、ファリャの火祭りの踊り。悪霊払いのメロディをスペインらしく、熱い演奏で終えられました。

 

迫氏は、いったい何色の色彩をお持ちなのでしょうか?
音楽から、次々と果てしなく溢れ出る色彩。それに寄り添い呼応する、SK-EXという楽器の素晴らしさを、改めて実感しました。
音楽の持つ奥深さを”色彩”という視点から考えさせられる、意義深い演奏会となりました。
会場のお客様も、その美しいオーラをたっぷりと浴び、満たされた気持ちで帰られました。

(仙台北事務所 講師 澤田 美紀)

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