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カワイコンサート
アレクサンダー・ガジェヴピアノリサイタル 開催レポート
2022年11月23日(水)14:30開演(開場 14:00)
会場:東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパスTCMホール
昨年の第18回ショパン国際コンクール第2位入賞者の演奏会ということもあって、チケットは発売開始僅かの時間で完売となり期待の高さが感じられました。
当日は枯葉が舞い散る生憎の雨模様でしたが早くからお客様がお越しになる盛況ぶりでした。
会場の「東京音楽大学TMCホール」は、2019年に造られた東京音楽大学:中目黒・代官山キャンパス内にあり、舞台に近い座席を多く配し、木を基調に上質で落ち着きのある空間としてデザインされた400名程度収容のホールです。
開演を知らせる本ベルのチャイムの後に会場全体が暗転し、演奏者のガジェブさんご本人のメッセージが語られ、 続いて日本語訳が話されました。なんと、録音ではなくご本人のその時の"生の声"でお届けしているとのことでした。
〜言葉の前に音が存在し、音の前に静寂がある それをまず感じ取ってほしい〜
<2分間の沈黙>…静寂の後、ステージが明るくなったと同時に静かにドビュッシーの演奏が始まりました。
前半のプログラム最後のショパン「ピアノ・ソナタ第2番」では、第三楽章:葬送行進曲の有名なメロディーが再現されたあたりから徐々にステージの照明が落とされる という演出があり、その後も段々暗くなって第四楽章:フィナーレの最終音の後は、一瞬完全な暗闇となりました。
これらの演出の全て、はガジェブさんご本人の発案によるものだそうで、演奏者のコンサートへの熱意と観客に対する心遣いの感じられる熱いメッセージが届けられました。
後半のプログラムのシューマン「幻想曲」でも、ピアニストの身体から沢山のエネルギーが放出されているように見えるエネルギッシュな演奏で、約30分間がとても短く感じられました。
アンコール曲最後のショパン「24の前奏曲:第24番」は、高音部から低音部まで Shigeru Kawai の魅力を余すところなく引き出して圧巻の演奏でした。高音からの煌びやかな音色の高速のパッセージが冴えわたり、胸に訴えかける切ないメロディーを情感たっぷりに奏でたのち、最後の低音D3音の後に 残響から続く静寂がホール全体を包み込み、特別な幸せな時間が終わりを迎えました。
演奏に使用したピアノは昨年のショパン国際コンクールで使用した楽器SK-EX128号機で、音楽を表現することを何より大切にして信じられないくらい多彩な音色を創り出すピアニストと調律の方をはじめスタッフの情熱が良いタッグを組んだベストマッチな演奏会となりました。
東京支店 鈴木 美和
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