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カワイコンサート NO.2313
横山 幸雄 ピアノリサイタル 開催レポート
〜デビュー30周年記念〜
2021年9月12日(日)開演14:00 開場13:30
会場:広島市東区民文化センターホール
2021年9月12日(日)14:00開演 会場:広島市東区民文化センターホール
第12回ショパン国際ピアノコンクールにおいて、歴代の日本人として最年少で入賞後、常に第一線で活躍を続け、2021年にデビュー30周年を迎えられた、日本を代表するピアニスト横山幸雄さんの演奏会でした。
プログラムは、ベートーヴェン、リスト、ショパンというまさにピアノ音楽の王道で構成されていました。
ベートーヴェンの悲愴から始まるコンサートは、最初のハ短調の和音によって一気に世界に引きこまれ、2楽章では夢の中にいるような音色、そして3楽章では躍動感のなかに哀愁が漂い、改めてベートーヴェンの名声を世に広めるきっかけとなった曲だと感じることができました。
続くリストの「愛の夢」と、シューマンの「献呈」では聴きなじみのあるメロディが横山幸雄さんの軽やかなテンポにのせて美しい音色で響きました。
ショパンのバラードでは、曲の終盤に近付くにつれて最後のコーダがどのように演奏されるのだろうか、そして素晴らしい演奏をまだ聞いていたいがコーダを迎えてしまうとあっという間に曲が終わってしまう寂寥感を感じながら聞き入っていましたが、いざコーダを迎えると曲が持つ華やかさに加え、横山幸雄さんの多種多様なタッチから繰り出される繊細かつ、ダイナミックな音圧のある音色に魅了されました。
ノクターン第20番「遺作」はまるで優しく語りかけているようなソフトタッチで、うっとり聴いていると、アタッカでソナタ第3番が始まり、ドラマチックな提示部の始まりに驚かされました。
ソナタの構成は言うまでもなく素晴らしく、ショパンらしいハーモニーのバランスでした。2・3楽章と進むうちに、横山幸雄さんの音色が作り出す夢想的な世界が美しく、終楽章では力強い盛り上がりを勢いそのままにロ長調で締めくくられました。
軽やかでいて、超絶技巧を感じさせない優雅なテクニックで、横山幸雄さんの魅力を最大限味わうことのできるコンサートでした。
【アンコール曲】ショパン:ワルツ 第6番 変ニ長調 Op.64-1
当日の横山幸雄さんは、客員教授である地元音楽大学で後進の指導にあたり、コロナ禍で演奏機会を奪われた学生達に改めて音楽を楽しむ喜びと感動を与えてくれました。
アンコールは疾走感のある子犬のワルツで、観客の心を弾ませました。素晴らしい演奏と親しみのあるトーク、とても素敵な一日でした。
山口 由貴
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