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カワイコンサート NO.2294
務川 慧悟 ピアノリサイタル 開催レポート
2019年9月26日(木) 開演19:00 開場18:30
会場:仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール(仙台市泉区中央2-18-1)
秋晴れの清々しい季節の中、カワイコンサート、務川慧悟氏のピアノリサイタルが、仙台銀行ホールイズミティ21小ホールに於いて開催されました。沢山のコンクールで入賞され、又、浜松国際では、SHIGERU KAWAIのピアノを弾いて受賞されたということで、大変楽しみにしていました。
前半1曲目は、J.S.バッハのカプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」変ロ長調BWV992。とても誠実な演奏で、バロック時代の奏法を固守しつつ、各曲の情景描写を豊かに表現していました。2曲目は、ラヴェルのソナチネ。1音目から透明感のある美しい音で、バッハとは違う世界に一瞬で誘われました。1楽章の優雅且つ明快さ、2楽章のメヌエットはやや古典的な奏法で、3楽章はアジタートの常動曲を踏まえ、あざやかなパッセージで客席を魅了していました。3曲目はリストのバラード2番ロ短調S.171。詩的に語りかけるような部分、幻想的優美な女性的な部分、溢れ出る感情を余す所なく表現し尽した男性的な部分と、次々場面転換される演奏と務川氏の音楽性には、本当に感服しました。
休憩後1曲目は、ショパンのノクターン第18番ホ長調Op.62-2。悟りと深さを併せ持つ、非常に内面的な演奏でした。最後は、ラフマニノフの楽興の時Op.16。1.3.5曲の暗く重々しい哀しみに満ちた叙情的表現と、2.4.6曲の壮大でメカニックで感情の起伏に富んだ演奏の対比が素晴らしく、SKの楽器の魅力を存分に客席に伝えてくれた演奏でした。
演奏後、仙台への思いを語って下さり、アンコール曲として子供達にもよく知られたショパンの小犬のワルツOp.64-1を、最後にラヴェルの「鏡」より第4曲道化師の朝の歌を、ユーモアとスペイン的な物憂げさをオーケストラ的な響きで、客席を最後まで魅了させて下さいました。務川氏の演奏は、どの曲も、主旋律の提示が明確で、他の声部の色彩や、音と音との関わりがよく考えられていて、立体的な絵画を見ているようで、心に残るものでした。
終演後、サイン会も行われ、初めから終わりまで、務川氏の鮮やかな技巧、豊かな音楽表現、又、SKフルコンサートピアノの多彩な響きに、お客様も大満足の様子で、大盛況のうちに幕を閉じました。
仙台北事務所 澤田 美紀
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