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カワイコンサート NO.2287
小川 典子 ピアノリサイタル 開催レポート
2019年6月7日(金) 開演18:30 開場18:00
会場:札幌コンサートホール Kitara 小ホール(北海道札幌市中央区中島公園1-15)
6月7日 金曜日 初夏の訪れを感じるような緑眩しい札幌の街。その中心地に位置する札幌コンサートホール Kitaraに於いて小川典子さんのピアノ・リサイタルが行われた。
会場は開演前からほぼ満席状態でピアニストが如何に凄い方なのだという事を思わさせられた。
演奏した曲はモーツァルト/ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331(トルコ行進曲付き)、ドビュッシー/ピアノのために、ベルガマスク組曲、菅野由弘/水の粒子(ピアノと明珍火箸のための)、ショパン/ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」作品18、アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ作品22というプログラムである。
会場は期待と緊張感に包まれ1部が開演。ステージの照明が明るくなりピアニストの小川さんが颯爽と登場し大きな拍手の中 深々と一礼。そしてマイクを手にされご挨拶。小川さんの気さくで爽やかなトークに緊張感が和らぐのを感じた。
1曲目はモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番(トルコ行進曲付き)。ピアノの音が鳴り始めたと同時にその音の艶やかな伸びと深い響き、絶妙な左右のバランス、小気味良く流れる音楽の安定感と卓越されたテクニックに釘付けになってしまった。
2曲目、3曲目はご本人が好きな作曲者と話されていたドビュッシーの作品からピアノのためにとベルガマスク組曲を演奏。ピアノのためには圧巻の一言。ドビュッシーはこのように弾くものなのだと改めて実感させられた。ベルガマスク組曲では神秘的で美しい音の塊が心の中に熱く強烈な印象を与え小川さんの奥深い豊かな音楽の世界に魅了されて行った。
2部は 水の粒子(ピアノと明珍火箸のための)から始まる。この曲は小川さんのご出身地川崎市でご自身が行われているリサイタルの為に菅野由弘が作曲した作品である。演奏する前には小川さんがこの曲にまつわる数々のエピソードを紹介して下さり益々の興味が沸いた。そして水の粒子が始まる。ダイナミックな流れの中に音一つ一つが光る。目を瞑ると本当に音の粒を見ているような、幻想的な情景が色彩豊かに描かれていく。そして時折、集中を引き付けるかのように明珍火箸が鳴る。どこか懐かしさのある神聖な美しい明珍火箸の響きと音楽の融合に不思議な感覚を体感をする。
コンサートの終盤はショパンからワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」作品18、アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ作品22を演奏。大輪のバラを思わせるような華かな音楽、荘厳で息を呑むようなテクニックが押し迫って来る。その姿はまるで100人のオーケストラを操る指揮者を見ているような強い感動を受けた。
演奏終了後には割れんばかりの大きな拍手。鳴りやまない拍手に応えてくれたアンコールはラフマニノフの音の絵 op39‐1。ここでも小川さんの楽しいトーク。あれだけ演奏された後なのに溢れるパワーとダイナミックな演奏に会場は驚きを感じたのではないだろうか?
アンコールが終わっても続く大きな拍手に何度もお辞儀をされ笑顔で応えて下さる小川さん。その素晴らしい演奏と温かなお人柄に酔しれたコンサートの一夜であった。
札幌地区 植田 明美
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