アレクサンデル・ガジェヴピアノリサイタル開催レポート

カワイコンサート NO.2283
アレクサンデル・ガジェヴピアノリサイタル開催レポート
2019年5月19日(日) 開演 15：00　開場 14：30
会場：広島県民文化センター多目的ホール　（広島県広島市中区大手町1-5-3）

　第９回浜松国際ピアノコンクールで優勝され、音楽的な基礎の上に豊かな表現力と確実なテクニックを兼ね備えたピアノスト　アレクサンデル・ガジェヴさんの演奏会でした。プログラムは、時代を追って校正されていました。前半はバッハ、ベートーヴェン、リスト。後半はスクリャービン、プロコフィエフ、多彩な作曲家の演奏を見入るように聴きました。

　バッハは深みのある音色と構築性のある音楽、特にフーガはそれぞれの声部の特徴を生かして立体的に仕上げられていました。ベートーヴェンは力強くエネルギッシュに、また２楽章冒頭のピアニッシモからロンドへの移り変わり目が絶妙で素晴らしかったです。リストはあの絵の如く、ガジェヴさん自身が魔術師に見え、不思議なファンタジーの音の世界に惹き込まれていきました。

　後半は、前半と打って変わって近代ものになり、スクリャービンはモザイクアートを思わせる色彩豊かな音の響き、いろんな色が見えるようでした。

　最後は、プロコフィエフ、いい意味での無機質的な響き、打楽器的なタッチでダイナミックな演奏でした。これだけの音楽を余すところなく表現できるガジェヴさんは、素晴らしいピアニストであり、そのガジェヴさんの想いを音にして私達に伝えてくれる、ＳＫ－ＥＸは本当に凄い楽器だと改めて感じたコンサートでした。

　鳴りやまない拍手に応え、予定２曲のアンコールは、当日３曲に変更になりました。

　アンコール　　

　ショパン　　　　エチュードOp.25-5

　ラフマニノフ　　エチュードOp.39-5

　リスト　　　　　エチュードマゼッパ

　アンコールは、迫力ありダイナミックでどれも心に残る演奏会でした。

　前日は、宮島、原爆ドームへ行かれ、いろいろな想いを描かれ当日を迎えられました。

　素晴らしい演奏、とても素敵な一日でした。

安達　智美