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カワイコンサート NO.2267
小林 愛実 ピアノリサイタル 開催レポート
2018年4月13日(金) 19:00開演 18:30開場
会場:
アクトシティ浜松 中ホール (静岡県浜松市中区板屋町111-1)

 

 4月13日(金)、今最も注目を集める若手ピアニストの一人・小林愛実さんをお迎えしてカワイコンサートが開催されました。幼少より天才少女と呼ばれ、現在はアメリカのカーティス音楽院で研鑽を積まれている小林さん。2015年ショパンコンクールでのご活躍(日本人唯一のファイナリスト)や「情熱大陸」などのドキュメンタリー番組への出演も記憶に新しく、会場は彼女への期待感に溢れ、ほぼ満席の入りとなりました。

 プログラムはショパンとリストというロマン派を代表する、しかし対照的な作曲家の作品。

 前半はショパン。まずはノクターン第17番から。

 弾き始めるまでじっくり時間をかけ、晩年のショパンの深い孤独に寄り添い、共鳴するような美しく染み入る演奏でした。

 続いてピアノ・ソナタ第2番『葬送』。

 この曲では、力強さや迫力というよりも繊細さや緻密さ、楽譜を細部まで読み込み、メロディーだけでなく内声のラインも丁寧に拾って、音楽をより多層的に聴かせる確かな構成力が印象的でした。そして、これはノクターンでも感じたことですが、小林さん自身が楽曲を通して自分の内面の奥深くにあるものと向き合っている、対話しているように思いました。そんな私的な空間に聴衆も惹き込まれていきました。

 前半最後はスケルツォ第2番。

 緊張感に満ちた冒頭のテーマと叙情的な第2テーマの対比が素晴らしく、楽曲のドラマティックさが際立っていました。

 後半はリストの巡礼の年第2年『イタリア』よりペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番の3曲から。

 内面的だったショパンから、こちらは伸びやかな音でよりリラックスした演奏、自然で詩的な歌心が光っていました。 

 リサイタル最後を飾るのは、同じく巡礼の年第2年『イタリア』から最終曲『ダンテを読んで−ソナタ風幻想曲』。

 リストの代表曲の1つであるこの曲を、地獄篇のデモーニッシュな響きから天国篇の解放された響きまで、鮮やかに聴かせてくれました。

 アンコールはショパンのノクターン遺作とマズルカ第13番。

 全体として印象的だったのは、とても思索的に楽曲と向き合われていること、そして熱狂というよりじわじわと感動が広がっていく会場の空気感でした。これから小林さんの世界がどのように進化と深化を遂げるか楽しみになるコンサートでした。

浜松事務所  杉山 園実

 

 

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