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カワイコンサート NO.2266
小川 典子 ピアノリサイタル 開催レポート
2017年11月1日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
いずみホール(大阪府) アクセスマップ 

 いずみホールの周りに佇む木々が黄色く色づき始め輝かしい秋晴れの続く日中とは違い、太陽が沈んで次第に肌寒さも感じられる2017年11月1日(水)19:00より、ホール内は外気を感じさせない熱気の中、小川典子先生によるピアノリサイタルが開催されました。

 コンサートは、小川先生の解説により進行され、リーズ国際コンクールで入賞されたお話から始まりました。イギリスのリーズというお話から、ベートーヴェン作曲の英国国歌による7つの変奏曲WoO78が演奏されました。使用ピアノはカワイフルコンサートピアノSK−EXで、どこまでも硬派なプログラムと先生が仰られた通り、格式のある和音の充実ある響きと柔かい音色の上、外枠のしっかりした音が印象的で非常に丁寧な演奏でした。

 続いてのベートーヴェンはピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57「熱情」でしたが、こちらは同じベートーヴェンでも少しロマン派の要素が垣間見えてその解釈から賛否が分かれやすいらしいですが、音が実にきれいでSK−EXの深みある響きと、あくまでも古典のイメージを払拭しないながらも流れ出すような音色が実に作曲家の特性を見事に表していると感じました。

 後半は、ロマン派の巨匠と呼ばれる作曲家達リスト、ショパンが中心のプログラムでした。まずは、リストの巡礼の年 第1年「スイス」よりオーベルマンの谷が演奏されました。冒頭の主題の変容から全体が構成されており、曲も15分近い大曲となっています。リストの特徴である細かくきらびやかなニュアンス、さらに温かみのある和音の提示、テンポ感が絶妙でした。

 ショパンは、ワルツ第1番 変ホ長調「華麗なる大円舞曲」から始まりました。同音連打の鮮やかな色合いとワルツの軽やかさに酔いしれた後は、バラード第1番 ト短調 作品23が演奏されました。第1主題のはかなく物憂い旋律と、非常に美しく歌わせる第2主題とのコントラストが見事に表現されていました。SK−EXが織りなす細かいパッセージに対するヴィブラートのような響き、完全に曲を妨げないペダリング、ダイナミックスにも決して深みを失わない音の様はとにかく見事でした。

 ラストは、ショパンの中でも代表的大作であるアンダンテ・スピナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22が演奏されました。小川先生は演奏前にSK−EXが「挑むように演奏しても答えてくれるピアノ」と仰っていましたが、その言葉通りエネルギッシュでダイナミックな演奏でした。前半のアンダンテ・スピナートは響きの柔らかな抒情性のある旋律、ポロネーズ部分はスピード感と毅然としたリズムに技巧的な面を持ち合わせていてその華やかさに会場全体が酔いしれているといった感じでした。

 鳴り止まない拍手の中で演奏されたアンコール曲は、エリック・サティ作曲「ジュ・ドゥ・ヴー」でした。フランスものも得意とされていて今までの印象とはまた違う響きの重厚な味わいのある演奏によって、湧き上がる拍手の中コンサートは終演となりました。

 古典とロマン派の対象的な作曲家の演奏にも様々に豊かな音を使い分けて演奏されている表現の多彩な演奏会となりました。

京阪支店 岡本 渚

 終演後のサイン会の様子

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