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カワイコンサート NO.2260
アレクサンデル. ガジェヴ ピアノリサイタル 開催レポート
2017年6月8日(木) 19:00開演(18:30開場)
会場:三井住友海上しらかわホール(愛知県)
6月8日、名古屋しらかわホールにて。数々のコンクールで受賞され、第9回浜松国際ピアノコンクールでも、弱冠20歳で優勝及び聴衆賞を受賞されたアレクサンデル・ガジェヴ氏をお迎えして、カワイコンサートが開催されました。プログラムは、前半がショパンのポロネーズ第1番、舟歌、ピアノソナタ第2番「葬送」。後半はリストの巡礼の年第2年「イタリア」より、ペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番、そして、ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」でした。アンコールには、ショパンのマズルカ13番と、リスト=ワーグナーの「イゾルデの愛の死」を披露されました。空気を伝う音の、豊かな層を感じさせる音色の積み重なり、心地良いアルペジオの、柔らかで深みのある響きに魅了されます。
舟歌では、氏の若々しい解釈、作り込み過ぎない率直な迫り方を感じ、ソナタでは、殊に弱音の時が真骨頂で、徒に煌びやかなのではなく、繊細な響きで奏でられる「歌」がありました。
またリストでは、叙情的な美しさを導き出す細やかな心配りが、吟味された音質となって、北イタリアの風景、芸術、そしてペトラルカの心情を彷彿とさせました。ダンテの、不穏な増4度の動機から切迫感ある半音階の主題は、実にコントロールされていて、SKの持つジェントルな性質を最大限に引き出した氏の表現、空間に広がる音の行方を辿る余韻に、心豊かな時間を過ごすことができました。
アンコール曲のマズルカ13番(Op. 17-4)の、どこか遠い懐かしさを伴う哀愁、また、イゾルデの愛の死は、決して大上段に振りかざすことなく、それでいて迸る感情のエネルギーが伝わってきて、会場中に、本編に続く感動をもたらしていました。
終演後のサイン会においては、氏のにこやかな笑顔が温かい場を作り、ファンの皆様は大変嬉しそうでした。
今後もまた、ガジェヴ氏の演奏会が待たれます。
名古屋ユニット ピアノ研修担当 佐藤 有紀
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