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カワイコンサート NO.2258
アレクサンデル. ガジェヴ ピアノリサイタル 開催レポート
2017年6月6日(火) 19:00開演(18:30開場)
会場:仙台市太白区文化センター楽楽楽ホール(宮城県)
初夏のさわやかな気候の中、仙台市太白区文化センター楽楽楽ホールにて、第9回浜松国際ピアノコンクールで優勝及び聴衆賞を受賞されたアレクサンデル・ガジェヴさんのピアノリサイタルが開催されました。
コンサート前半はショパンの曲を3曲。
1曲目は、ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op.26-1。ポロネーズのリズムが正確且つペダリングが非常に繊細なので、音が柔らかく心地よい響きを醸し出していました。
2曲目は、舟歌嬰ヘ長調Op.60。色彩感溢れる演奏で、転調の連続では次々と変化する音に、まるで絵画を鑑賞しているようでした。
3曲目は、ピアノソナタ第2番変ロ短調Op.35「葬送」。各楽章の性格が各々特徴的で独創的ですが、それを生かし、見事な構成力で聴衆を魅了してくれました。特に3楽章から4楽章への和声的な変化は、本当に美しく心に残るものでした。
休憩を挟んで後半は、リストの巡礼の年第2年「イタリア」より。初めにペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番。恋に捉われた甘美さを表現した47番。喜びと苦しみの対極をドラマティックに演奏した104番。穏やかで優美な123番。ガジェヴ氏の持ち味である甘く美しい音色が行かんなく発揮された3曲でした。
最後は、ソナタ風幻想曲「ダンデ」を読んで。冒頭の悪魔と死の象徴である響から、地獄と激しい苦悩の世界へと怒涛のように弾ききり、合間に心の救済となる美しい穏やかな天上の音楽を奏で、そのコントラストが見事でした。SK-EXの音の深みや立体感も十分に堪能することが出来ました。
聴衆の盛大な拍手に応え、アンコール曲2曲が演奏されました。
ショパンのマズルカOp.17-4では、憂に充ちた絶望的な表現と、左手の絶妙な和声感が素晴らしく、リスト=ワーグナーのイゾルデの愛の死では、情景描写が雄弁で、トリスタンメロディーが寄り添うように奏され、魅力的でした。
終演後、ロビーでサイン会が行われ、来場者と写真撮影をしたり、穏やかな雰囲気の中、お開きとなりました。
澤田美紀
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