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カワイコンサート NO.2255
青柳 晋 ピアノリサイタル 開催レポート
2017年5月23日(火) 19:00開演(18:30開場)
会場:
神戸朝日ホール(兵庫県)

  

 若葉が初夏の日ざしにまぶしくかがやく季節となった5月23日、異国情緒あふれるお洒落な街並みの旧居留地にある神戸朝日ホールにて、青柳晋さんのリサイタルが開催されました。

 今回は、オールショパン・プログラム。「舟歌」「幻想ポロネーズ」「ソナタ第3番」などショパン晩年の最高傑作と言われる作品が、人気ピアニストの青柳さんによって演奏されるということで、開場前から既に長蛇の列で、今回のコンサートに対する期待が伺えます。満員の観客に迎えられ、いよいよコンサートが始まります。

 カワイ創立90周年を祝して選曲されたという「軍隊ポロネーズ」で華々しく幕を開けた後は一転して、大人っぽく繊細な雰囲気の曲が続きます。

 柔らかい音色で色彩豊かに演奏された「前奏曲 嬰ハ短調 Op.45」、まるで羽の生えた指で空中を軽やかに駆け抜けるような「前奏曲 変イ長調 遺作」。

 曲が進むにつれ、ますます青柳さんとピアノとの一体感は増していき、会場中がどんどん惹きこまれていくのがわかります。「舟歌」は、柔らかく豊かな響きで心が満たされるようでした。

 「2つのノクターンOp.27」では、甘く美しい旋律とキラキラとした音色にうっとり夢見心地になるようです。

 前半を締めくくる「幻想ポロネーズ」では、39歳という若さで亡くなったショパンの年齢をとっくに超えてしまったとおっしゃっていた青柳さんの成熟した演奏から、晩年のショパンの高みに触れるような崇高な気持ちになりました。

 コンサート後半は「2つのワルツOp.69」からさりげなく始まりました。

 そして「ピアノソナタ 第3番 ロ短調 Op.58」。男性的で強い意志を感じる第1楽章、爽やかな風がさっそうと吹き抜けるような第2楽章、過ぎ去った遠い過去へ思いを馳せるようなノスタルジックな気分にさせられた第3楽章、そして圧巻の第4楽章では、会場全体を興奮の渦に巻き込んで、まるでホール全体が共鳴しているかのようでした。

 会場が熱気に包まれる中、拍手は鳴りやみません。アンコールに応えて、「マズルカ ヘ短調Op.63-2」、「練習曲 ホ短調Op.10-3別れの曲」が演奏され、素敵な余韻を残して締めくくられました

 終演後はロビーにてCD販売とサイン会が行われ、こちらも大盛況で、サインを求めるお客さん一人一人に爽やかな笑顔で応対されているのが印象的でした。

 今回のコンサートでは、ショパンの魅力を存分に味わい、再確認することができました。青柳さんの作り出す音楽からは、的確な解釈、確固たるテクニックの中にも音楽に対する誠実さ、真摯な人柄が感じられ、温かい気持ちになりました。

 今後も演奏や教育の多方面で、更なるご活躍を楽しみにしています。

                        神戸事務所 篠田万里子

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