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カワイコンサート NO.2247
アレクセイ・メリニコフ ピアノリサイタル 開催レポート
2016年6月3日(金) 開場18時30分 開演19時00分
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(東京都)

はりつめた静寂。 客席の緊張がピークに達する。早く解放されたいけれど、幸せな瞬間でもある。
現れたアレクセイ・メリニコフ氏は、温和な笑顔で、広い空間をあっという間に教会へと変えてしまった。

J.S.バッハ(ブゾーニ編曲): コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」
序章にふさわしい美しい旋律と音色…。

聴く準備を促すように2曲目 リストのピアノ・ソナタ ロ短調へ
発表当時は物議をかもしたというリスト唯一のソナタ。
形式の理屈ではなく、ピアノの魅力を最大限にいかした楽曲、余りある演奏者の技量、それに応えるピアノの音色の奥行き。
その全てが織り成す壮大なるドラマ…最後の一音までをも、観(聴き)届けた思いがした。

後半初めは、ドビュッシー:前奏曲集1・2巻より2曲

次に続く『展覧会の絵』に、もう一枚追加された印象派の絵画のように、深い色に染められていく「沈める寺」。

フランスの「花火」はどんな色だろう?そんなことを思いながらも、何故か私は、それを線香花火になぞらえていた。〜導火線に火がつき、火の粉が舞う、やがて最高潮をむかえ、次第に減衰していく〜

こんな感じだったかなぁ…とでも言うように何の気負いもなく、ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』がはじまった。
1.グノームス 2.古城 3.テュルイリー 4. ビドロ
次々のおねだりに悠々と応える演奏にどんどん引き込まれていく。
5.殻をつけたひよこの踊り 6.サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ 7.リモージュ市場 8.カタコンベ
いつか目にした、題材になったというハルトマンの絵画の記憶に、体温が加えられていく。
9.ババ・ヤガー 10.キエフの大門
気に入った絵を、もう一度観たい余韻に浸りながら…終演。

メルニコフさん、ありがとうございます。

さらに、なんとも美しい3曲ものアンコール。

真似出来るはずもないけれど、早く我が家のピアノの蓋を開けたくて、家路を急いだ。

城南事務所 小越聖美

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