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カワイコンサート NO.2245
アレクセイ・メリニコフ ピアノリサイタル 開催レポート
2016年5月30日(月) 開場18時00分 開演18時30分
会場:山形テルサホール(山形県)

 

 

 モスクワ出身の若手ピアニスト、アレクセイ・メリニコフさんのリサイタルが山形テルサホールで開催されました。2015年浜松国際ピアノコンクールで第3位に入賞され、世界各地で多数公演を行っているメリニコフさんの演奏は多彩な表現力で聴衆を魅了しました。

 前半はバッハのコラール前奏曲で始まりました。一音一音に祈りが込められたような音が会場に染み渡り、オルガン的な響きが印象的で、同時にこれから先のプログラムへの期待感も高まりました。

2曲目のリストのソナタは、一つの物語を読みきったような感覚でした。変幻自在に現れるテーマを語りかけるように歌っていて、時折現れる憂いを帯びたような美しい旋律の響きに感動しました。

 後半はドビュッシーの前奏曲から「沈める寺」と「花火」が演奏されました。リストの響きとは打って変わって、ドビュッシーの持つ色彩の変化が見事に表現されていました。和音の移り変わりが、まるで水彩画の色が溶け合うかのように奏でられ、情景が目に浮かぶような音と、フランス音楽の響きに会場の空気が一変したかのように感じられました。

プログラム最後はムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」でした。前半のリストと同様にメリニコフさんの持つ世界観にどんどん引き込まれていきました。曲間に現れるプロムナードは、展覧会に行った時の高揚感や逸る気持ちで足を進める様子を思わせるような臨場感があり、聴衆は聞き入っている様子でした。

 前半、後半共に大曲を取り入れたプログラムでしたが、大曲とさえ感じさせないメリニコフさんの技術の高さは言うまでもなく、特に弱音が巧みに操られた演奏技術は聴衆を引き込む力を感じさせるとても魅力的なものでした。

 アンコールに演奏されたのは、ショパンのワルツ第5番Op.42とグルック作曲、オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」より「メロディ」(ズガンバーティ編曲)の2曲でした。軽やかさの際立つワルツとは対照的に、「メロディ」は美しく優しい音色の旋律が聴衆の心に響きました。

 終演後のロビーでのサイン会には、たくさんの人が並びました。スリムで長身で甘いマスク、情勢客はここでもメリニコフさんの魅力に引き込まれている様子でした。

これから各地での公演、そしてコンクールも控えているという事で、良い結果が届きますように。そして10年後、20年後の更に円熟した彼の演奏を、また聞いてみたいと思いました。

山形事務所 工藤恵美

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