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カワイコンサート NO.2243
アレクセイ・メリニコフ ピアノリサイタル 開催レポート
2016年5月27日(金) 開場18時30分 開演19時00分
会場:アクトシティ浜松 中ホール (静岡県)
昨年11〜12月に開催された第9回浜松国際ピアノコンクールでは、カワイの大躍進が目立ちました。出場者全72名のうち24名が、そして本選でも6名中3名がSK-EXを選んだのです。その一人、見事第3位に輝いたロシアのピアニスト、アレクセイ・メリニコフさんをお迎えして、5月27日(金)アクトシティ浜松中ホールにてカワイコンサートが開催されました。前評判も非常に高く、大入りの会場は開演前から期待感に溢れていました。プログラムは前半にJ.S.バッハ/ブゾーニ編曲:コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」BWV639、リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調、そして後半はドビュッシー:前奏曲集第1巻より「沈める寺」、第2巻より「花火」、ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」という意欲的なもの。
幕開けのバッハのコラールでは、静かな祈りの感情を一片の緩みもなく聴かせ、一気に会場の集中度を高めました。
続くリストのソナタは圧巻。起伏に富んだ構成を過度に感情に流されることも統一感を失うこともなく聴かせる絶妙なバランス感覚、そしてその中で全ての音に神経が行き届いていること、pppからfffまで大変広いダイナミックレンジ、多彩な音色、そしてロマンティックなパートの魅力的なこと……。印象に残ったことを挙げればきりがありません。技術的な完成度が非常に高く、不安要素がないからこそ、純粋に音楽そのものを堪能でき、深い感動を覚えました。
後半はドビュッシーの前奏曲から。荘厳で神秘的、そして“水”のイメージの「沈める寺」、鮮烈な“火”や“光”のイメージの「花火」、対照的な2曲をそれぞれの感触が直接伝わってくるようなタッチで巧みに弾き分けていました。
最後の「展覧会の絵」はリサイタルを締めくくるに相応しい熱演。この曲はラヴェルによるオーケストレーションが有名ですが、正にピアノからオーケストラが鳴っているような、壮大で多彩で、そしてロシア音楽らしい重厚な表現に圧倒されました。興奮した客席からは「ブラヴォー」の声も飛んでいました。
鳴り止まない拍手に、アンコールはグルック:「メロディ」、そしてショパン:ワルツ第5番の2曲。
リサイタルを拝聴して、「ロシアの正統派ピアニスト」という印象を強く持ちました。確かな技術と共に、音楽が求めるに従って自然に、そして緻密に構築する、その誠実なアプローチに感銘を受けました。これからのご活躍が益々楽しみです。
メリニコフさんとSK-EXの素晴らしさに酔いしれ、心が満たされたコンサートとなりました。
浜松事務所 杉山園実
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